アダプトゲン製薬株式会社 代表取締役社長 林博道氏インタビュー
今回企業インタビューにご協力いただいたのは、アダプトゲン製薬株式会社社長の林博道氏です。
アダプトゲン製薬社は、原料開発に強みを持つ、健康食品、化粧品、医薬部外品、酒類等の受託製造メーカー。原料開発から最終製品にいたるまで一貫製造が可能で、剤形、包装形態を問わず幅広いニーズに応えられる技術と設備を擁していらっしゃるアダプトゲン製薬様ですが、今回新たにBtoCビジネスへの進出に向けたご支援をさせていただきました。
企業紹介
アダプトゲン製薬株式会社
昭和60年、岐阜県瑞浪市に生薬原料の供給会社として設立。現在は原料栽培から包装まで一貫製造できるOEMメーカーとして、企画立案から開発・製造・発送・販促活動まで幅広いサポート体制を整えている。世界各国の厳選された天然素材を扱い、安心・安全で且つ機能性の高い素材の研究、開発に取り組む。
プロジェクト内容
『輸入スポーツサプリの販売促進』×『スポーツニュートリションのエキスパート』
現在の日本のスポーツサプリ市場に、海外で人気の商品を入れていくことで市場をさらに活性化させていきたいと考えている。日本市場に無い商品のため、啓発活動を含めた販促活動が必要となることから、スポーツニュートリションの知識が豊富な方に販売が形になるまでの期間サポートを求め、RD LINKに依頼。
エキスパート支援内容
スポーツに関連する事業開発支援、産官学連携コンサルティングプロジェクトに複数参画しているOさんをアサイン。知識と人脈を活用し、半年間にわたり毎月1~2回の打ち合わせを行いながらターゲットゾーンの明確化からアプローチ戦略の作成までを伴走型で支援。
インタビュアー:RD LINK三浦
ゼロスタートの新規事業でやるべきことが整理できた
今回RD LINKを活用いただいた経緯をお聞かせください。
「XTEND」というスポーツサプリメントの製造販売をするにあたって自社にはスポーツサプリメントの販路開拓のスキルやノウハウがなかったことから、人材事業を展開しているRDサポートの大澤社長に相談し、すぐにRD LINKからOさんをご紹介いただきました。
-Oさんとの仕事はスムーズに進みましたか。
Oさんについてはもともと存じ上げている方ということもありましたが、弊社がやろうとしていることをよく理解してくださったので、とてもスムーズに進みました。販路拡大という目的に沿って、どういった人やルートに繋いでいくか、どのような訴求をしていくか、という部分において非常に早い段階で的確な提案をいただけたと思っています。
自社だけで考えるよりスピードも上がりそうですね。
そうですね。最初は本当に何も無いところからのスタートで「どういう方向にいけば良いのだろうか」という状況でしたが、Oさんから「こういう人と繋がってはどうですか?」「こんな媒体はどうですか?」など様々な情報を提供いただき選択肢を示していただけました。そこから適切なものを取捨選択していくことができましたね。
このプロジェクトをスタートした当時は社内に専任の営業メンバーもいませんでしたし、どちらかというと大まかな方向性の話だったのですが、この1年間Oさんと共に進めてきたことで、色々とやるべきことが見えて絞れてきました。そこで現在は次のステップとして、具体的に「この販路で売るためにはどうしたらいいか」といった、これまでよりもう少し的を絞ったフェーズでRD LINKさんにエキスパート支援を相談しています。
事業フェーズごとに必要な知見を得られるのは合理的かつ有益
エキスパートを活用してみて良かった点はどんなところでしょうか。
事業のフェーズに合わせて必要な知見やスキルをもつ人材を活用できるのは非常に有益です。やはり社内に保有している知識や技術だけであらゆるプロジェクトを乗り切るのは難しいんですよね。あれもこれもできる人というのはなかなかいません。
新しいことをする場合、まずは方向性などの大きな流れを知るところから必要です。我々も最初は「業界内でのスポーツサプリのモノの動きってどんな感じなの?」とか「どういう業界団体があって、どういう繋がりがあるの?」といったところからでした。
そこにまず知見を持つ人材が必要になります。その後には「どう売っていくのか。店頭でどうリピートして売り上げていくのか。」という更に次のステップをやらなければいけません。そこにまた人材を投下する必要があります。
正社員採用の場合はそこまでピンポイントで採用することは難しく、また採用した人材がすぐに活躍できるとは限りません。小回りが利くのは外部人材ならではだと思いますので、Oさんに来ていただけて良かったと思っています。
-なるほど。確かに正社員人材が、様々なフェーズに対応するのは難しく、成果を上げるには育成も必要ですね。
一口に販路といっても、スポーツ量販店を得意とする方、ドラッグストアを得意とする方、ネット通販を得意とする方など、個人の得意不得意があると思います。そういった点でも、自社が販路を広げたい分野に応じて、必要な時にその分野を得意とする人にサポートしてもらうというのは、非常に合理的だと思います。
テクニカルアドバイスだけでなく企業の思いも理解してもらいたい
-外部人材の活用において不安はありませんでしたか。また、現場社員の方に戸惑いはありませんでしたか。
今回の弊社の場合はスポーツニュートリションに関して全員が素人だったので、特に活用に不安はありませんでした。その業界に精通しているOさんが外から参画し、Oさんを中心に物事が進んでいくことに対しては社内に違和感や戸惑いもありませんでしたね。
一方で例えば、自社の品質管理をより次元の高いものにしたいという目的で大手メーカーにいる方にサポートいただくといったケースを想定すると、現場の社員には事前に目的意識を持たせておく必要があると思います。
-「現状からより次元の高いものに」というのはエキスパートの活用目的として実際に多くいただく事例ですね。
そうですよね。より良くしたいというニーズは各企業あると思います。その場合は、外部人材を何のために呼ぶのかをきちんと現場に伝えることが大切だと感じます。
自分たちに何が足りなくて、なぜこの人に来てもらわなければいけないのか。またそれによって何を得たら良いのか。というところを社員にしっかりと理解してもらわないと「外から急に来て偉そうに・・・」となりますよね(笑)それでは誰も得をしません。
-なるほど。外部人材の活用を考えている企業には参考になりますね。
あと、実際にOさんに入っていただいてひとつ思ったことですが、企業側がエキスパートに求めるものを明確に持っておくことは大事ですね。自分に求められている仕事や期待内容が漠然としていると、エキスパートの方も何をやればいいのか分からず非常にやりにくいと思います。
あくまでも主体は企業側です。プロジェクトにおいてエキスパートに実際に何をしてほしいのか、どんなことを解決してほしいのかを明確に持った状態で迎えないと、せっかくの人材が有効活用できないと思いましたね。
-正社員ではなく外部からのエキスパート人材だからこそ求める働き方やスタンスがあるとしたら、それはどんなことでしょうか。
林:コミュニケーションに対して積極的に取っていただけることを望みます。やはり社員ではなくても同じプロジェクトを進めていく上で一つのチームとして動くわけですので、お互いが理解できるようにコミュニケーションは非常に大事だと考えています。
一方的に教える・やってあげるではなく、双方向ですり合わせながら進める意識ですね。
やはり仕事にはこうしたいという思いがありますよね。弊社の場合は販路開拓が目的ではありましたが、その先には「すごく良い商品が開発できたから、世の中に広めてみんなに喜んでもらいたい」といった思いがあります。販路開拓だけを考えれば「卸はこうやって口座開拓をしていて、こうやって交渉したらうまく入りますよ」というような目の前のテクニカルな部分やノウハウ的なところも必要ですが、我々企業がその先に何がしたいのかという思いまでを理解して、一緒に取り組んでもらえたらいいなと思いますね。
今回は販路開拓でのエキスパート活用でしたが、研究や開発分野で外部人材を活用することについてはどのようにお考えですか。
やはり仕事にはこうしたいという思いがありますよね。弊社の場合は販路開拓が目的ではありましたが、その先には「すごく良い商品が開発できたから、世の中に広めてみんなに喜んでもらいたい」といった思いがあります。販路開拓だけを考えれば「卸はこうやって口座開拓をしていて、こうやって交渉したらうまく入りますよ」というような目の前のテクニカルな部分やノウハウ的なところも必要ですが、我々企業がその先に何がしたいのかという思いまでを理解して、一緒に取り組んでもらえたらいいなと思いますね。〇〇コンサルタントというものがよくありますが、結局それと同じではないでしょうか。製造や品質の分野ですと会社の今の実態が全てバレてしまいますし、そこに抵抗感がある方もいるかもしれませんが、そう言っていたら何もできませんよね(笑)
例えば品質管理分野であれば、より優れた品質管理レベルの企業で経験を積まれた方に来てもらうわけですから、その人にきちんと仕事をしていただくためには、まずは弊社の状態を知ってもらわないといけない。
我々としてもエキスパートの持つ知見を自社に移植しようとしているわけなので、企業秘密の部分というのもある程度開示していかないと目的は成し遂げられません。必要情報を開示せず成果だけを求めても無理ですよね。だからどちらを取るかということじゃないですかね。
-今の話と繋がりますが、RD LINKでは秘密保持については外部人材だから漏れるという図式ではないと考えているのですが、経営者としてはどのように思われますか。
それはその人とその会社の関係だと思います。弊社のようなOEMという業態では秘密保持に関しては特にシビアではありますが、最後はNDA契約云々というよりも信頼関係ですよね。疑い始めたらきりがありません。そこはエキスパート個人とRDサポートという会社への信頼で担保するところでもありますよね。
ひとつ言えるのは、正社員よりも外部人材の方の情報管理意識の方が高いかもしれませんね。立場的に何かあれば真っ先に疑われますし、外の機密情報を提供されたら逆に弊社の情報も出しているのではと思ってしまいますから。
多様な働き方の中でも選んでもらえる組織を作り、企業と個人が切磋琢磨できるといい
-アダプトゲン社は社員の複業を認めているのですか
現段階では積極的に認めるとしていませんが、相談があれば検討します。OEMという業態上、秘密も事情の問題がないかなど考慮すべきところも多々あるので、そこはまだこれからです。
しかし、当社にも社員のキャリアにもメリットがあるという図式が明確であれば問題ないと考えています。その結果優秀な社員が独立することになっても、個別に契約をするなど、やり方は色々あると思います。
経営者の立場として、複業という働き方をする人材は社会全体として増えてくると思いますか。
そうでしょうね。個人個人における仕事の定義というか、在り方が変わってきていると感じます。自分が持っているものをどういう風に活かすかということを、それぞれの個人が考えてできるような状況、時代になってきたのかなと思いますね。
これから雇用も働き方もどんどん変わっていきそうですね。
長く生きる中で、私たちはほとんどの時間を仕事に費やしています。その仕事が自分の人生の充実度とリンクしているほうが良いですよね。
今働き方はとても多様化していて、従来のように一つの会社で長く勤めあげることだけが良いわけではないとは思っています。一方で私は経営者なので、やはり社員には会社にいてほしいわけです。そのためには、多様な働き方がある中でもアダプトゲンに勤めたほうがいいなと思われる会社にすれば良い。
そういった感じで企業と個人がお互い切磋琢磨できたらいいんじゃないかな。
最後にですが、コロナ以前はOEMメーカー各社人材不足と聞いていましたが、コロナ禍により採用の状況はいかがですか?
基本的に弊社の場合は人人材不足には変わりありません。製造、営業、品質管理、研究開発部門、全般的に人材不足は感じています。
製造などはテレワークというわけにはいきませんが、コロナ禍で社員の働き方は何か変わりましたか。
テレワークは弊社でも少しずつですが普及しています。今はテレワーク勤務として採用した社員が3人います。うち2名はコロナの煽りを受けて仕事が減ってしまい、弊社の募集に手を挙げてくれたことから採用に至りました。コロナが無ければその2人は従来通りの仕事をしていたと思いますので、弊社としてはコロナがきっかけで人材を確保できた面はあります。
コロナというとマイナスの影響ばかりに目が活きがちですが、働き方が変わってきたことで今まで接点のなかった人材と出会う機会ができたのはある意味プラスの影響でもありますね。
そうですね。まだ新たな出会いがあると嬉しいですね。