メロディアン株式会社 代表取締役社長 中西優紀雄氏インタビュー

2021.02.22

企業インタビュー

メロディアン株式会社 代表取締役社長 中西優紀雄氏インタビュー

様々な企業様でエキスパート人材を活用いただいていますが、企業機密に関わることも多いためプロジェクト進行中はなかなかその情報を公開できません。RD LINKがローンチしてからもうすぐ1年。徐々にプロジェクトが終了する企業様も出てきましたので、実際に外部人材であるエキスパートを活用いただいての感想をインタビューさせて頂き、順次公開していきたいと思います!

今回RD LINK初の企業インタビューにご協力いただいたのは、メロディアン株式会社社長の中西優紀雄氏です。

企業紹介

メロディアン株式会社
昭和33年、大阪府八尾市に大阪府最後発の牛乳会社として創業。コーヒーフレッシュを中心にガムシロップ、ロングライフ飲料、健康飲料などを製造販売。

プロジェクト内容

『“介護予防”と“機能性”を兼ね備えた新製品の開発』×『機能性素材のエキスパートKさん』
ポーションタイプの機能性食品の拡大を視野に、新たなコンセプトでの高齢者向け商品の開発を目指す。開発スピードを上げ、また既存商品から消費者が抱く固定概念を払拭するような商品開発に向けて専門知識を得たい。

エキスパート支援内容

大手食品メーカーにて研究開発企画、品質管理など多くの分野を手掛け機能性素材の知見が豊富なKさんをアサイン。6ヶ月にわたり、月2回の商品開発打ち合わせと素材についてメロディアン社の社員研修を実施。

RD LINKへの依頼の経緯

今回RD LINKを活用いただいた経緯をお聞かせください

中西氏(以下中西):RDサポートさんとは正社員の中途採用などで懇意にさせていただいており、昨年春にRD LINKの新規事業の話を伺いました。弊社では以前から高齢化社会に向けて機能性素材を使った商品を開発したいという構想がありましたので、RD LINKさんに詳しい人がいないかお声掛けさせていただきました。

これまでにも業務委託での外部人材を活用されたことはあったのでしょうか

中西:経営コンサルタントのポジションでは活用経験がありますが、商品開発の技術的な分野で外部の方に就いていただくのは今回が初めてです。

今回はなぜ正社員の中途採用ではなく業務委託での採用だったのでしょうか

中西:どの企業も感じることだと思いますが、中途採用は企業にとっては一種の賭けです。非常に良いご縁となることももちろんありますが、必ずそうなるとは限りません。採用後にお互い「思っていたのと違う」というギャップが生じることは少なからずあります。

若手など時間をかけて育てる場合は良いですが、今回のように新規事業で〇〇という機能性素材の専門知識が欲しいという明確な課題がある場合に関しては、有期雇用で専門人材を活用できるというのは企業にとってはとても魅力的です。

また、研究職や開発職などの職種は専門性が高い分野です。それゆえに研究部位が外れてしまうとご本人も本来の力が発揮できない、弊社としても期待していた活躍がいただけないという状況になってしまいます。いくら面接でお互い確認しても、そのギャップの発生リスクはゼロにはなりません。企業側としては、合わないから解雇しますということはもちろんできませんので、中途採用には非常に慎重にならざるを得ません。

その点、業務委託というのは有期雇用で業務の内容ごとに契約を結ぶのでギャップも少なく、仮に何かあった場合でも軌道修正がしやすいという魅力を感じました。商品開発の分野ではスポットでエキスパートを活用という方法は活きると思います。

エキスパートが入って変わったこと

エキスパートを活用してみて良かった点は何でしょうか

中西:エキスパートの方が長きに渡り構築されてきた人脈も含めて、学んでこられた知識やノウハウを短期間でエキスとして享受させていただけるというのは、非常にありがたいことです。

また語弊を恐れずに言うと、その知識やノウハウをご提供いただくことが業務委託としての契約内容でもあるため、その他の業務と関係のない部分に関しては変に気を遣う必要がありません。ドライということではありませんが、程よい距離感も業務委託ならではの良さだと感じました。

エキスパートとの業務の進め方ですが、連絡は基本的にRD LINKを介していただきましたが、実務に関してはどのように進められたのでしょうか

中西:基本的には弊社からの質問にお答えいただく形で打ち合わせを進めました。またその機能性素材そのものや加工する上で難しい点などを社員に向けて講義していただきました。

恐らくエキスパートにはとっては初歩的で当たり前の内容だったとは思いますが、弊社にとってはそういった基本を教えていただけることがありがたく、トライ&エラーの必要がなくなり工数的にショートカットができました。

外部人材の活用において不安はありませんでしたか。また、現場社員の方に戸惑いはありませんでしたか。

中西:不安は特にはありませんでした。有期契約ということも後押しして、社内的にもまずは積極的に活用してみようという雰囲気でしたね。そこをやらないと前に進まないという思いもありました。実際にエキスパートのKさんにお会いした後は、そのお人柄にも惹かれ、絶対に一緒にやりたい!というぐらいの意識になっていました。

今回に関しては弊社の社員が全く知らない分野を教えていただいたので、現場のメンバーもみんな食らいつくように学んでいました(笑)

秘密保持の点はどのように考えられていましたか

中西:もちろん気にはなりましたが、今回はその懸念を超えるメリットを享受できると考えました。今回Kさんはまだ企業に所属している状態でしたので、いつどんなところで弊社とのプロジェクトが話題に上るか、心配が無かったわけではありません。

ただ、弊社は商品開発のスピードが非常に速いと自負していますので、仮に一部情報が出てしまったとしても商品開発において先を越されることは無いと考え、それ以上にKさんの持っている知見を得られるメリットが大きいと判断しました。秘密保持に関しては、最終的にはKさんとの信頼関係でクリアした形ですね。

RD LINKの良さと外部人材活用の留意点について

正社員ではなく外部からのエキスパート人材だからこそ求める働き方やスタンスがあるとしたら、それはどんなことでしょうか

中西:「前の会社では」「今の会社では」という枕詞を使わずに、弊社が今やりたいことや弊社の風土を理解して一緒に動いていただけるスタンスですね。

我々は中小企業でスピード感を非常に重視しています。一方で大手メーカーなどでは、あるひとつのことを進めようと思う際にエビデンスを非常に重要視される傾向があります。もちろんそれは非常に大事なことですが、我々中小企業は大手企業の隙間を突き抜けようと日々精進していますので、同じようにやっていては前に進めませんし、負けてしまいます。

法的な規制・制限があるものは提示順守すべきですが、それ以外の所はできるだけ効率的に商品化していきたい。そのような弊社の考え方に、賛同とまではいかなくても理解いただく姿勢は求めたいですね。

今回Kさんは大手メーカー出身の方でしたので、その点を弊社としても気にしていましたが、面談の中で「どんどんやりましょう」というお言葉をいただけたことで、安心してKさんにお願いしようと思えました。

エキスパートも自身の知見だけを押し付けてしまうのでは良くないということですね。

中西:そうですね。ただケースバイケースで、その塩梅は難しいですよね。「教えてあげたい、役に立ちたい」との強い思いで来ていただけることは大変ありがたいですが、受け入れ側としては押し付けられるとちょっと困ってしまいますし、逆にとても貴重な知見を与えていただけたと感じる場合もあります。その点は本当にお見合いという感じです。

業務委託としてお互いが気持ち良く働くためには、事前の面談の場が非常に重要で相互理解が不可欠だと思います。

まさにお見合いですね。

中西:そうですね。Kさんは大手メーカーの方でしたので、先ほどのエビデンスの話も含めて弊社のことを「なんだこの会社は」と思われないかというのも正直心配でした(笑)。

そういう心配もあるんですね。

中西:あります(笑)そういう意味ではRD LINKさんが間に入ってくれて事前にお互いの情報を交換したうえで、面談の場をセットし当日の議事進行をしてくれるというのはありがたいです。企業にとってもエキスパートにとっても重要な立場だと思いますよ。まさにお見合いのキューピット役といったところです。

商品開発分野でエキスパートを活用してみようと思う企業へのアドバイスはありますか

中西:「幅広く」を求めるのではなく、「この部分」というスポットの知見を得るための活用の方が失敗は少ないと思います。あれもこれもとなると全体がぼやけてしまい、お互いよくわからなくなってしまいます。「これを教えてもらうために4ヶ月」「これを教えてもらうために半年」という短期スパンで必要な部分を補うためにエキスパートの方に来ていただくのが良いのではないかと感じています。

一つ終わったらまた一つというイメージですね。スポットでの課題が見えない場合は、まずはそれを見つけるところからサポートいただいた方が良いと思います。

R&D人材の複業について思うこと

これから複業をしてみたいと考えている方へのアドバイスはありますか

中西:先ほどもお伝えしましたが「企業側が自分に何を求めているかということをきちんと理解いただく」ことがポイントだと思います。

複業では色々な企業と関わることになると思いますが、それぞれ異なった社風や考え方があると思います。また求められることも異なると思いますので、それらを理解して動くことが求められるのではないでしょうか。

研究や開発など理系専門職の複業は他の職種に比べるとまだ事例が少ないですが、中西さんは理系職の複業についてどのように考えますか?

中西:今回の弊社もそうですが、個人が持つ専門知識を活かして新しいものが生まれることは大いにあるので、開発分野の可能性を広げるという視点では理系の方の複業は企業にとっても個人にとっても有益で良いことだと思いますし、弊社もまた機会があれば是非お願いしたいと考えています。

その一方で、実は弊社ではまだ社員の複業は認めていません。弊社のコーヒーフレッシュひとつとっても、パッケージの強度や殺菌温度や分離しない油の開発など様々な技術が詰まっています。特許を取得しているものもあります。故意ではなく漏洩してしまうリスクもあるため、自社社員の複業となると経営者としては慎重になります。

そう考えると、現時点では、既に現役を退職された方の方が複業へのハードルは低いかもしれませんね。大手企業の副(複)業解禁もニュースになっていますし、今後はまた状況は変わっていくかもしれませんが。

最後にですが、今回のプロジェクトの商品はいつ頃世の中に出そうですか

中西:Kさんのおかげで製品はほぼできましたが、市場に出すためには製造コストなどの最終調整が必要ですので、もう少し時間はかかりそうですね。

新商品にお目にかかれるのを楽しみに待っています!本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました

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