株式会社ミツハシ 事業開発本部 新規商品開発課長 出口太朗氏インタビュー
今回企業インタビューにご協力いただいたのは、株式会社ミツハシの事業開発本部コンシューマー開発部で新規商品開発課長を務める出口太朗氏。
株式会社ミツハシは、1951年の創業以来お米を取り巻く様々な業務に関わり続け、精米事業、炊飯事業、冷凍事業の3本柱を軸に、新たな事業開発にも積極的にチャレンジされています。
そんなミツハシ社に今回RD LINKを活用いただきました。現在まだプロジェクト推進真っただ中、新商品の開発途中というご多忙の中、実際にエキスパートとどのように仕事を進めているのか、お話を伺ってきました。
企業紹介
株式会社ミツハシ
昭和26年創業。原料の仕入れから生産、品質管理、販売にいたるまでを自社で行う「コメの一貫メーカー」として、万全の供給体制を確立している。
プロジェクト内容
『機能性の付加価値を付けた原料開発』×『生鮮食品の商品開発エキスパート』
将来的な国内の主食用米市場の落ち込みが想定される中、拡大を続ける健康市場への訴求を強化した商品を開発し、新ブランドの展開をしたいと考えている。健康価値を訴求した原料やサービスに特化した取り組みは、自社の新たな試みであり手探りの状態。エビデンスの構築からその活用や訴求方法、PR戦略まで含めた新ブランドの商品開発が必要となることから、機能性表示食品の知識が豊富な方に原料開発のサポートを求めてRD LINKに依頼。
エキスパート支援内容
食品業界での生産技術や原料開発に長年従事したご経験を持ち、現在は個人事業主として生鮮食品の機能性表示関連のコンサルティング及び業務サポートを行うエキスパートをアサイン。ファーストステージ2ヶ月、セカンドステージ8ヶ月にわたり勉強会の実施やプロジェクト会議に参加。商品の戦略策定からヘルスクレームの整理、販売戦略立案・実行までを伴走型で支援予定。現在セカンドステージの途中。
RD LINKへの依頼の経緯
今回RD LINKを活用いただいた経緯をお聞かせください。
1年半ほど前に今回のプロジェクトとは別で「お米の副産物を他の用途で活用できないか」という話が社内で持ち上がりました。その時にRDサポートさんに相談し、エキスパートのAさんをご紹介いただいたのが、今のつながりの最初のきっかけですね。
RDサポートさんには中途採用でお世話になっていたのでRD LINKのサービス開始のご案内もいただき知ってはいましたが、当時のタイミングでは正社員採用も視野に入れていたので、RD LINKのエキスパートでというよりは、どなたか適した人材いませんか?という感じでご相談させていただきました。
もともと外部エキスパートを活用してというよりも、今困っているところにマッチしそうな人材を探していたのですね。
そうですね。その後お米の副産物活用の案件は社内事情で延期となってしまったのですが、半年後に新たに今回の「お米で健康機能性を打ち出していく」という商品開発のプロジェクトが立ち上がりました。機能性については社内では知見がない分野でしたので、そこで以前ご紹介いただいたAさんを思い出し、改めてRD LINKさんにAさんの紹介をお願いしたという流れですね。
そこでAさんを思い出していただけたというのはとても嬉しいです。
初めてAさんとお会いした時に、とても知見が豊富でお米のみならず、生鮮食品や他分野にも幅広い知見をお持ちだなという印象を受けていましたので、今回のプロジェクトが立ち上がった時にもAさんがパッと思い浮かびましたね。
エキスパートが入って変わったこと
Aさんが入ったことで何か変わりましたか。
自社に足りていなかった知識やノウハウをしっかり補ってくれた事で、プロジェクトが大きく前進しました。
また、Aさんと一緒に働くことで私たち社員にとっても良い刺激を頂いていると感じます。私自身、Aさんの仕事ぶりやお人柄を見てどうやったらああいう人材になれるんだろうなと思います(笑)社内でも「自分たちだけでは、とても出てこないアイディアだ」「あの視点はすごい」という会話が起こっており、良い刺激になっているのかなと思いますね。
ちなみに出口さんはこれまでも新規事業やプロジェクトリーダーをご経験されているのですか。
いえ、全社規模のプロジェクトマネージャーは初めてでした。これで大丈夫なのかな?と不安を感じた時にAさんにご相談できるというのも大きいですね。
新しいことやっているので、社内を見渡してもなかなか専門的な相談できる方がいません。その際、Aさんのような経験や知識が豊富な方がいて相談に乗ってくれるという安心感はとても大きいので、個人的には外部エキスパートをプロジェクトメンバーとしてお招きするのは、プロジェクトマネージャーや責任者の方にはとてもおススメです。
壁打ち相手、相談相手としての存在も大きいということですね。
とても大きいですね。
Aさんとの業務の進め方は具体的にはどのような感じなのでしょうか。
契約としてはファーストステージ、セカンドステージとあり、まずファーストステージでは2か月間で5回の勉強会を開いていただきました。我々にとって初めての分野になりお互いの前提となる共通言語が少なかったので、まずはそれを学んで土台を整えることをしました。
それが終わり、今セカンドステージに入っているところですが、基本的に毎月1回2時間ほどのプロジェクト会議に一緒に参加いただき、そこで弊社から不明点をAさんに質問する形で進めています。Aさんも非常に積極的に関わってくださっていて、今のミツハシに足りていない知識や、もっとこういうことをやったほうがいいのでは?という提案をいただきながら、社内でディスカッションしてまた会議を迎えてという形で進めています。
プロジェクトはまだ完了していませんが、経過としては大変順調に進んでおりまして、経営会議での中間報告でも経営陣からも「うまくいっているから引き続き頑張って」と言われて、本当にAさんに入っていただいて良かったと感じています。
Aさんとの連絡方法はどのようにしていますか。
普段の連絡は電話や、RD LINKさんに用意いただいたチャットグループを使っています。Aさんのレスポンスも早く不都合はありません。逆に弊社のレスポンスが遅いので申し訳ないなと思っています。
プロジェクト推進が順調そうで安心しました。
RD LINKの良さと外部人材活用の留意点について
RD LINKを実際に活用してみていかがですか。
やはり社内だけではプロジェクト推進が難しかったと思うので、適した人材をご紹介いただけて本当に良かったと思っています。
具体的にRD LINKのどんなところが良かったですか。
メリットとしては2つ感じています。
ひとつ目は最大のメリットだと思いますが、専門知識を持ったニッチな人材を紹介いただけることですね。専門人材へのアクセスは企業にとっては非常に難しくて、そもそも弊社がお願いしたいと思っていることができる専門知識や経験を持った人材がどこにいるのか、どうアプローチすれば良いのか見当がつきません。
経営コンサルタントやECコンサルタントのような方は別の部署でお付き合いもあり、プロジェクトの概要や事業戦略の話はできるのですが、具体的に研究開発の専門的な知識を使って開発をするとなるとそこまでの話はできません。
自分たちでAさんのような人材を探そうと思ってもまず探せませんので、やはり最初の接点としてRD LINKさんが人材をご紹介してくれるというのはメリットですね。
ニッチなマッチングなので弊社もすぐに人材がご紹介で着ない場合もあるのですが、専門エージェントとしてお役に立ちたいと考えています。
また、今回のような新規事業の場合は“少しやってみたけどやっぱり難しいね”ということもよくあります。正社員として専門人材を採用すると他分野ではその方の専門性が活かせなくなるリスクやミスマッチが起こるリスクがあります。そういう意味では一定期間、プロジェクト型で専門人材にサポートしてもらえるというのは企業側としてはメリットは大きいと思います。
正社員と外部人材を目的に合わせて活用できると柔軟性が高まりますね。
2つめのメリットは、RD LINKさんが間に入ってディレクションしてくれる点ですね。弊社のケースで言えば、勉強会の内容の調整や業務の進め方のところで非常にスムーズに進みます。
エキスパートの方はプロジェクト参加の経験があるかもしれませんが、企業側は外部の方と働くことが初めてというケースも多いと思います。そんな時に、当事者の我々とエキスパートだけでなく、色々な企業のプロジェクト推進を見てきているRD LINKさんに仲介役として第三者の立場で入っていただけ他の事例を紹介いただいたり、3者間でやりとりできるのもありたがいですね。 デメリットとしてはやはり直接契約の方がコストは安いですよね。これは費用対効果で見るところですが。
外部人材に求めるスタンスなどはありますか。
企業によって基礎知識や態勢の差があると思うので、そこは柔軟に対応してくださるといいなと思います。ひとつのプロジェクトを進める中では必要とする専門知見の前後に空白の部分があると思っており、我々企業側も埋める努力はすべきですが、埋め方が分からないケースもあると思います。
少し面倒かもしれませんが、エキスパートの方にはそういう空白を埋める作業も一緒に手伝っていただけるとありがたいなと思います。「私はこの知識だけ提供します」というスタンスではプロジェクトが進まなくなってしまうと思うので。
空白を埋めないとプロジェクトが線で繋がらないですよね。エキスパート側も言われたことだけやる、自分の知識を提供するだけ、というスタンスでは難しいですね。逆にプロジェクトのゴールに向けてしっかり関わりたい方にはとても面白そうです。
今回のプロジェクト支援をAさんにお願いする中で、当初は商品開発をしたいから機能性の知見の部分を手伝ってください、という話がメインだったのですが、プロジェクトを進める中でAさんからは商品開発の前後でミツハシに足りていない部分の指摘もいただいております。 「このまま商品開発をしても売れませんよ」と言われたりしますが、こういうことをおっしゃっていただけると嬉しい。むしろ社内ではそういった声は上げづらいので、遠慮せずにズバズバ指摘いただけると大変ありがたいです。
企業として外部人材を受け入れる際に留意したほうが良いことはありますか。あるいは出口さんが気を付けたことは何かありますか。
弊社の場合13名プロジェクトメンバーがいるため、やはり初期の段階では「Aさんがやろうとしている事が分からない」とか「ゴールが見えない」という声が一部ありました。そこはエキスパートの方の問題ではなく、弊社の受け入れ態勢の問題だと思いますので、プロジェクトの目的や、自社ができることできないことを分解して説明し、そのできない部分を補っていただく役割がエキスパートであるという意図の説明をしました。
他の企業様でも目的の説明という話をよく聞きます。全員が気持ちよく働くためにそういった社内への説明といったフォローは大事ですね。
やっぱり不安がある人もいますからね。あとは、エキスパートの方は知見も豊富でAさんの場合はプロジェクト参加経験も多々ありましたが、だからといって丸投げするのではなく、最終的に取り組むのは自社の課題なので我々企業側が主体的に能動的に取り組む姿勢というのは、何をやるにしても必要だなと思います。
今回新ブランドに関わる開発案件でエキスパートを活用いただいています。まだまだ外部人材の活用に対して情報漏洩のリスクから踏み切れない企業様も多いのですが、ミツハシ社は秘密保持への不安はありませんでしたか。
弊社の場合、Aさんは独立されていらっしゃる方なので特に不安はなかったですね。確かに研究開発分野でのエキスパートは、専門分野が深くて狭い領域になりがちなので、欲しい知識が同業・競合他社の物である場合、自社と近しい本業がある方の活用はNDAを結ぶとしても少し不安があるかもしれません。
ただ同業者のリスクをきちんと排除しておけば、そこまで慎重にならなくてもいいかなとは思いますし、その点でもRD LINKさんというエージェントを介しているのは安心感があると思いますね。
RD LINKではサブの副業ではなくパラレル・マルチの複業として打ち出しています。「フクギョウ」人材も二極化してきており、実際にご登録いただく方々も、副収入よりやりがいや貢献重視という方が多いのですが、確かに企業様にとって確証はないですもんね。「フクギョウ」へのイメージ改革がまだまだ必要ですね。
R&D人材の複業について思うこと
R&D分野の人材が複業することについてはどう思いますか。
企業側のニーズは多いにあると思います。弊社もそうですが、研究開発になかなか力を割けない企業も沢山あります。大企業であれば自社に研究室があり、大学との共同研究もたくさんしているかもしれませんが、そういう企業ばかりではありません。
最初の方にもお話ししましたが、企業にとって理系の専門知識がある方を中途採用するには新規事業としてはリスクが高いですし、ピンポイントの知識を持つ方はなかなか採用市場に出てきません。
それが複業、業務委託という形で協力いただけるとなると、企業にはとてもメリットが大きいですし、個人的には賛成です。人材側も専門の知見を活かせる場が増えるのは嬉しいと思います。
理系の方の複業は広がると思いますか。
これまで理系人材へのアクセスが難しかったので、RD LINKさんのようなマッチングサービスが出てきて広がっていくのではないかなと思います。