株式会社オーブン 代表取締役 畦地康之氏インタビュー
今回企業インタビューにご協力いただいたのは、株式会社オーブン代表取締役の畦地康之氏。
株式会社オーブンは、明治20年の創業以来、業務用水産加工品を主軸とし、冷凍食品事業を強化しながら事業を発展させてこられました。平成25年に株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスの子会社となり、自社ブランドのオーブン製品を『より良い品質の冷凍食品』として全国に販売されています。今回は業務用冷凍食品の規格書作成を、RD LINKのエキスパートがフルリモートでご支援させていただきました。
企業紹介
株式会社オーブン
明治20年創業、平成5年に株式会社オーブンに社名変更。平成25年に株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスの子会社となる。現在は愛媛を拠点とし「食品を通して社会や食文化に貢献する」という企業理念のもと、調理冷凍食品及び練り製品の製造・販売の事業を展開している。
プロジェクト内容
『業務用冷凍食品の規格書作成』×『品質保証のエキスパート』
企画書作成業務を担当していた社員が退職。業務が属人化していたこともあり、社内での引継ぎや後任育成が難しく、中途で即戦力採用に取り組むものの苦戦。月間平均50件弱の商品規格書作成対応が必要のため、欠員による作業停滞を避けるためRD LINKに支援を依頼。
欠員を理由にお客様に迷惑はかけられない、外部の力を借りるという選択肢を取り入れた
今回業務委託での外部人材活用を取り入れられた経緯を教えてください
規格書作成を行っていた社員の退職に伴い、新たに採用活動をしていたのですが、なかなか良い人材と巡り合えない状況が続いていました。
愛媛ということもあり応募自体も少なく、半年ほど募集し続けている状態が続き、これ以上欠員状態が長引くと業務が滞ってしまう懸念が生じていました。
そんな中、親会社のヨシムラ・フード・ホールディングスからRD LINKさんの業務委託でのエキスパート紹介サービスを紹介してもらい、エキスパートのTさんとお話ししてお願いすることに決めました。
中途採用で募集していたとのことですが、社内で後任への引継ぎや、異動で対応するという選択肢は無かったのでしょうか
規格書作成業務は、前任の経験に頼っている部分が大きく、属人化していたので、退職するとなってから社内メンバーを教育する時間的余裕もなく、即戦力人材を中途で採用しようと考えていました。
そうだったのですね。もともとは正社員で募集されていたということですが、業務委託でも問題はなかったのでしょうか
業務委託がダメというよりも、欠員を正社員採用以外で補う選択肢を持っていなかったという感じでした。
数名ご応募もいただいたのですが、やはり弊社が求める即戦力レベルの方を中途で採用するというのは難しいんだなということを実感しつつありましたので、まずは正社員として迎えることよりも、業務が滞って各所に迷惑をかけるほうが良くないと判断し、業務委託での人材も視野に入れたという流れです。
勤務地の制約が無くなれば、中途採用では出会えない即戦力人材にも出会える
実際にエキスパートのTさんと一緒に働いた感想をお聞かせいただけますか
非常にご経験と知識がおありでしたね。初めての打合せのときから、専門用語で話してもすぐにご理解いただけてコミュニケーションがとてもスムーズだと感じました。そこで「あ、充分お任せできる」と直感的に思いました。
実際契約開始の初日から仕事の依頼をさせていただきましたが、納期よりもかなり早くご提出いただきました。エキスパートがいると謳われている通り、RD LINKさんには高いスキルやノウハウ、知識を持った方々が登録されているということをすごく実感しましたね。
今回Tさんはフルリモートでの支援となりましたが、業務推進で困ったことはありましたか。またコミュニケーションで意識されていたことがあれば教えてください
困ったことは特にありませんでした。コミュニケーションは基本的にはメールで取り合っていましたが、複雑な説明が必要な時には電話で意思疎通を図るように心がけていました。また、Tさんは現役の会社員の方で日中に頻繁にやり取りをすることが難しい方でしたので、最低限のやりとりで業務が進められるよう、お願いする内容を誤解の無いように伝えることは意識しましたね。
最低限のやりとりとは具体的にどのようなイメージでしょうか
確認のキャッチボールが多くなるほど全体的に遅れが生じますので、なるべく一度でご理解をいただけるような依頼の仕方をするようになったということです。
最初は営業から来た依頼内容をほぼそのままTさんに投げることも多かったのですが、やはり実際に業務を進めるあたり分かりづらい点はTさんから質問がきます。弊社は朝にメールをしたとしても、Tさんは日中本業の仕事をされていますのでメールの確認は夜になるとすると、そこで質問いただいたことに対する弊社の回答は翌日になります。
そうなると、それだけで1日完全に無駄になってしまいますので、極力質問をいただかなくても良いような、わかりやすい文章を作成するよう心がけていました。
なるほど、確認作業の回数を減らすということですね。どうしてもやりとりに時差が発生してしまうので、それを見越した対応を心がけていたというのは、現役会社員の方をプロ人材として活用する場合の活用ノウハウの一つとして参考になるお話ですね!
ちなみにオーブン様では社員同士もリモート勤務でのコミュニケーションには慣れているのでしょうか
弊社でのリモート勤務は禁止ではありませんが、基本的には限られたメンバー以外はパソコンを持ち帰りできませんので、社員のリモート勤務はあまりないですね。
そうなんですね。では、先ほどフルリモートの支援で特には困らなかったとお伺いしましたが、今回初めての外部人材の活用、かつフルリモートでの支援という点で、始める前に不安はありませんでしたか
今回エキスパートの方にお願いしたい仕事は、品質管理業務の中の仕様書や規格書の作成でしたので、弊社から必要な情報を提供することで必然的に仕上がるものだと考えていました。
Tさんは、資料を提供すればすぐに作成に進めるレベルの知見をお持ちであることは契約前にある程度分かっていましたので、大きな不安はありませんでした。
実務として弊社のメンバーがTさんとメールで直接やりとりしながら進めていましたが、Tさんに依頼している仕事の内容や、そのために弊社側で提供する資料や情報は部内で共有していましたので、メンバーもTさんとのコミュ二ケーションにそれほど困ることは無かったと思います。
社内の関係者でエキスパートとの業務に関する情報を明確に共有しておくことが、リモートで仕事をするうえでも、外部の人と一緒に働くうえでも、スムーズな仕事に繋がるポイントですね
レベルの高い人材と一緒に働けることは社員にとって学びの機会になる
エキスパートを活用して良かった点や困った点がありましたら教えてください
良かった点は冒頭でも申し上げた通り、Tさんのおかげでお客様に迷惑をかけることを避けられたという点です。退職者の発生によって業務が滞ることで、社内の営業やその先にいるお客様にお待ちいただく事態は避けたかったので、それが実現できたことは本当に良かったと思っています。
またエキスパート活用の期待以上の産物として、専門性の高いTさんと一緒に仕事をすることがメンバーにとってまたとない勉強の機会になり、非常に成長してくれました。これはとても実感しています。
もちろんエキスパートと働いて得たことを自分なりに落とし込んでいかないと、本当の学びや成長には繋がりませんが、でも社内の中で閉じていて外部プロの仕事を見る機会がそもそも無いよりはあった方が絶対に良いと思います。
困った点としては、書類作成に要する時間が一律ではないため、RD LINKさんやTさんとの契約の範囲内の時間でどこまでできるか読みづらい部分は正直ありました。基本的に時間内で収まるようなご依頼をして、溢れそうな部分に関しては親会社の品質部門にバックアップしてもらいながら進めようと考えてスタートしましたので、特に問題が発生したり困ったというわけではないのですが、やはり「今これを1件出したらちょっと時間超過するのかな」と社内で調整することはありましたね。
ただ、この件についてRD LINKの担当の方にご相談をさせていただき、毎週Tさんからの週報をお送りいただく形で対応いただけるようになりました。
週報で大体「今のところこれぐらいのお時間で処理いただいていて、あとこれぐらいの時間、これぐらいの件数をお願いできるんだな」と把握できるようになったので、かなりクリアに業務遂行ができるようになり、それはとても助かりました。
弊社としてもご相談いただけて良かったです。
社員に大きな負担を強いる代償は大きい、会社として外に頼るという判断も必要
RD LINKのサービスを活用するメリットとデメリットはどんなことだと感じましたか
まず大きなメリットとしては、自社の社員に無理をさせなくて良いということですね。
RD LINKさんにお願いしていなければ、欠員の分、結局は他の社員にしわ寄せがいき、負担をかけてしまうことになっていました。今まではそれは致し方ないという雰囲気で、「地方で採用が難しい、新しい人が入るまで待って、今はそういう時期でもう少しだから我慢してほしい」ということに対して社員も「分かりました」とは言ってくれるものの、やはり色々なストレスは溜まっていくと思うんですよ。
業務増加による疲労や、自分の専門外の仕事をさせられているという気持ち、またそれがいつまで続くのか見通しが立たないことで、社員が疲弊し退職の連鎖にも繋がりかねません。その点で、今回本当に他の社員に大きな負担をかけなかったのは、会社としては大きなメリットだったと思います。
また弊社の場合、親会社の品質部門に一部業務をお願いして援助してもらうことも可能ではあるのですが、我々はグループ会社としても事業会社として自立するという意志を各社持っていますので、エキスパート活用という手段を使い、自社内で解決できたのはとても良かったです。
ありがとうございます。畦地さんがおっしゃるように、特にマンパワー不足の中で業務を進めなければいけない現場社員の負荷というのは意外と見過ごされがちだと思います。生産性も下がる可能性があるので、人材を守る意味でも、一つの手段として選択肢に入れてもらえると良いなと思いました
もうひとつの大きなメリットとしては、RD LINKさんが間に入ってくれることで余計なことにあまり労力を使う必要が無いということですね。
Tさんもダブルワークされていますし、恐らくそうでない方でも他の仕事との兼ね合いで時間が合わずにすれ違うことはあると思いますが、そういう時でも弊社からRD LINKさんに連絡やご相談をして、RD LINKさんからエキスパートさんにご連絡いただけるという形が取れるのも良いと思いました。
RD LINKさんが間にいることでコミュニケーションがスピーディーに円滑に進むメリットはあったと思います。コンサルタントの方々も仲介者として齟齬のないように伝えるということに対する意識が高いという印象を持っています。
また先ほど申し上げたような、業務が見えないことでのやりづらさなど「ちょっと困っている」ということも相談しやすいですね。「本当にそんなに時間かかっているのかな?」というちょっとした不安や懸念は、直接の契約ですと関係性を気にして飲み込んでしまうレベルの話しかもしれませんし、交渉するとしても気苦労がありますよね。
そのような「ちょっと困った」を、しっかりクッションになっていただきながら、エキスパートと話をして、良い形にしていただけるのは助かります。
外部のプロ人材を活用するには、企業側にも一定の業務管理負担が発生します。その負担を弊社が仲介することで、少しでも軽減でき、業務推進に必要なことだけに集中してもらえる環境作りは強みとしていますので、実際にそれを感じていただけて嬉しいです。
デメリットというか希望としては、1件あたりいくらという料金でお願いできると分かりやすかったとは思います。費用面というより、生産性の部分ですね。仕様書も、短時間で作成できるものから、何のデータも無い状態から作るものまで、本当に様々なものがあり、同じ1件でも必要工数は大きく異なります。
件数単位での計算であれば、業務としても見通しが立てやすいですが、契約時間の中でできる件数という考え方で取り組まなければいけなかったので、ちょっと難しい部分はありましたね。
ただ作成スキルはエキスパートの個人差もありますので、件数単位での契約はなかなか難しいとは理解しています。
貴重なご意見ありがとうございます。企業様のニーズにより契約パターンのバリエーションが増えると良さそうだと思います。今後のサービス改善の参考にさせていただきます
人材確保が難しい地方企業こそ、外部人材の活用の恩恵は受けやすい
最後にRD LINKの活用を迷っている企業様に対してアドバイスがあればお願いします
弊社と同じように、欠員が出て困っている、教育が間に合わなくて困っているという企業様は多いと思います。その間、他の社員に負担を強いることなく業務が進められ、お客様にご迷惑をかけないことは組織にとって、とても大きな利点です。
ただ、弊社も親会社のヨシムラ・フード・ホールディングスに紹介してもらうまではRD LINKさんのようなエキスパート活用のサービスを知りませんでした。同じように外部人材の活用という手段をまだ知らない企業の方が多いと思いますし、知っていても「いまいち実態が分からないし、実際どうなんだろう」という不安から、活用のハードルはまだ高いと思います。
しかし、地方企業は立地の不利から採用難易度が高く、即戦力レベルの人材の採用が難しいです。人材確保は地方企業にとっては本当に大きな課題です。そういった地方の企業こそ、エリアを超えて優秀な人材の知見を活用できるサービスを使うメリットを享受できると思います。
人材不足の中で、会社として業務のスピードや質を落とさないためにも、また社員の負担軽減や成長機会としても、必要な時は外の力を借りるという選択は良いと思います。
外部人材の活用に機密保持の面でまだ不安を持たれる企業様もいますが、秘密保持については御社はどのように考えていましたか
やはり万が一の場合を想定し、委託する業務はある程度の選定は必要だと考えています。機密保持契約を締結させていただいていますが、弊社も仮に仕様書が流出しても取引先企業に対して損失の影響は無いと判断をしたもののみをお願いしています。
何もかもを機密情報として「守り」に入るということではなく、コアな部分は社内で、外に出せる部分は外部の力を借りてという判断のもと、業務を切り分けながらプロ人材を活用していくことが事業の発展に繋っていくのではないかと考えています。