【対談】研究開発組織の形とR&D人材のキャリア展望を教えてください/亀田製菓株式会社

2022.08.24

企業インタビュー

【対談】研究開発組織の形とR&D人材のキャリア展望を教えてください/亀田製菓株式会社

コロナ禍の中での業況や研究開発組織の在り方はどのような状況なのか。事業や組織の今後の成長戦略やR&D分野の人材のキャリアの展望を、弊社代表の大澤が企業の経営層に直接聞く対談企画!

今回は亀田製菓株式会社の代表取締役会長兼CEOであるジュネジャ・レカ氏に対談いただきました。

企業紹介

亀田製菓株式会社。
1946年創業。日本の食の基本である「お米」を素材とし、消費者に愛される米菓を作り続けている米菓業界のリーディングカンパニー。長年愛されてきたブランドを育て守るとともに、今後は製菓業に留まらず"Better For You の食品業"としての本格展開を進め、創業以来培った伝統の技を革新し、世界の人々に愛されるグローバル・フード・カンパニーを目指す。

コロナ禍の業況

大澤:本日はよろしくお願いします。

ジュネジャ:よろしくお願いします。

大澤:この度は代表取締役会長兼CEOにご就任おめでとうございます。

ジュネジャ:ありがとうございます。

大澤:早速ですが、コロナ禍を通して事業のご状況はいかがでしょうか。

ジュネジャ:巣籠り需要の中、「亀田の柿の種」が大変売れました。しかし、グループ会社でデパート向けに高級米菓を販売していた会社や、お土産用の米菓を売っていた会社など、特にコロナ初年度は売り上げが大きく下がってしまったところもあります。このように事業ごとにギャップがありましたが、会社全体の業績としては好調です。昨年は原料高で収益に影響がありましたが、前年並みに売上はありましたね。個人的には2020年に私が亀田製菓に入社してからの2年半は海外出張も制限され、世界各地にあるグループ会社への訪問もままなりませんでした。オンラインでもマスクを着用しているので、社員の顔が見られないのが残念でしたね。

大澤:当社も先日社員総会を行いまして、ここ2年はオンライン開催でしたが今回はオンラインとリアルを併用した、ハイブリッド型で開催できました。

ジュネジャ:コロナ禍で仕事ができないわけではありませんが、やはり大きな仕事は難しいですよね。決まった商品を売ることはできますが、本当に新しいことをやるとなったら、相手に伝えないといけません。それはやはり対面でないと難しいです。オンライン上でも色々できるようになり、効率的と言えばそうかもしれませんが、本当の商売というものは相手となる人物を知り、商品に込めた魂を伝えるものです。そのようなパッションを伝えることがコロナ禍では困難でした。

研究だけでなく商売のイノベーションが必要

大澤:御社の研究開発の取り組みについて教えてください。

ジュネジャ:では私の原点となる経験からお話させてください。少し古い話にさかのぼりますが、私は1989年に大学院で博士号を取得しました。その後、ご縁があり太陽化学株式会社に入社しました。
太陽化学社には当時から立派な研究所があり150人ほどの研究員が在籍しており、技術の会社だなと思いましたね。基礎研究の部長や取締役を歴任しましたが、当時は本当に楽しかったですね。研究が大好きでしたし、とても自由にやらせていただきました。
当時の会長から「世の中にないものを作れ」と言われ、それが私の原点であり、今も私の精神として残っています。経営者というものはどうしても数字ばかりを求めてしまいがちですが、私は技術と商品があってこそ数字が付いてくると思っています。

大澤:なるほど。

ジュネジャ:ですから、研究開発で市場を作るんです。太陽化学社でテアニンを開発した時は生化学辞典にも載っていませんでした。今では世界中で製造され、臨床試験も広く行われています。テアニンを開発できた背景には、やはり会社として基礎研究ができていたからということがあると思います。

大澤:やはり研究の力ですね。

ジュネジャ:そうですね。でも研究だけではないんですよ。私は亀田製菓の研究員には「出口を見つけて研究を始めましょう」と伝えています。研究のための研究ではなく何のために・誰のために研究するのか、つまりパーパスです。それを念頭に置いて研究に臨んでほしいと思います。私自身、これまでに200以上の論文と3冊の本を書いていますが、重要なのは論文の数ではありません。研究者にとっては社会へのインパクトファクター(影響度を表す指標の一つ)が大事なのです。

大澤:バリューということですね。

ジュネジャ:その通りです。だから私は「その研究は誰のためになるのか」ということを考えて研究ができる組織にしたいと考えています。

大澤:会長に就任されて、改めてイノベーションについてどのようにお考えですか。

ジュネジャ:私は研究畑出身の経営者になりました。先日の株主総会でも申し上げたのですが、私はグループ含めすべての会社、すべての部署にイノベーションを起こしますよ。私のイノベーションは技術に関することだけではありません。商売のイノベーションです。このコロナ禍にあって、どういう製品を創り上げるか。そのためには購買と技術とマーケティングとお客様との連携、その輪を繋げる研究も重要です。そうすることで、世の中にない新しいもの、付加価値のあるものが生まれます。それが私の経営方針ですね。

:なるほど。

ジュネジャ:私は講演でよく「亀田製菓を知らない方は手を挙げてください」と尋ねます。そうすると、手を挙げる方は一人もいません。亀田製菓の商品を食べたことのない人は一人もいませんし、名刺を渡すと皆さん笑顔になってくれます。亀田製菓は消費者に広く知られている会社です。そのような会社に入社して誇りに思っていますし、会社のトップになったことはとても光栄に思っています。亀田製菓から新しく価値ある商品をどんどん発信していきたいと考えています。

製菓業から食品業へ。新たなブランド展開。

大澤:ポストコロナでどのような事業戦略をお考えでしょうか。

ジュネジャ:コロナ禍でひとつ学んだことはやはり「食」ですね。人間は何があっても必ず食が必要です。生きていけませんからね。亀田製菓はその「食」の会社です。その「食」に加えて、今私たちは2つのテーマに取り組んでいます。一つは「健康」、もう一つは「環境」です。世界が健康にシフトしていきつつあり、当社の米菓も少しずつ変わってきています。最近は健康のための「減塩」製品に取り組み、「ハッピーターン」や「亀田の柿の種」ではおいしさそのままに塩分30%オフを実現しました。

大澤:減塩は大きなトレンドですよね。

ジュネジャ:ゴマーノというゴマを中心とした商品も作りましたし、糖質制限製品や乳酸菌を配合した製品など健康に寄与する製品開発もしています。これは大きな変化ですね。まだ安価で販売していますが、ここからシフトして収益を中心に考えていかなければいけません。

大澤:健康と機能性を付加することによって、高付加価値をつけていくということですね。

ジュネジャ:包装も工夫して、パッケージも段々スリム化しています。

大澤:環境面への配慮ですね。

ジュネジャ:塩分もプラスチックもオフです。この流れはやはりコロナ禍で加速しましたね。ワクチンも薬も何もなく、免疫を上げることで対処するしかないということで、一般社会に免疫という言葉が急激に広まったと思います。

大澤:確かにコロナで日本の消費者の健康意識は高まりましたね。予防に対するインテリジェンスも上がりましたし、そこは追い風なのではないでしょうか。

ジュネジャ:確かに健康意識は高まっていますね。そしてこれら2つのテーマである「健康」と「環境」にプラスして「美味しさ」は私たちの強みです。米菓の生地や食感、美味しさ、プロの技を持っています。当社は今年3月から、プラントベースドフードのブランド「JOY GREEN」、国産米粉を主原料にしたアレルギー特定原材料等28品目不使用の米粉パンブランド「Happy Bakery」、米由来乳酸菌のブランド「Rice BIO」と新たに3つのブランドをグループ会社とともに立ち上げました。

JOY GREENの「大豆と玄米のベジスライス」であれば、100g中、たんぱく質58.0g、食物繊維11.1g、コレステロールはゼロで、味や食感を工夫しています。健康と環境の両面で最高の商品です。

大澤:これは非常に興味深い商品です。これさえ食べておけば大丈夫というぐらい栄養価が高いですね。

ジュネジャ:ありがとうございます。「Happy Bakery」の米粉パンはグルテンが入っていません。グルテンが配合された米粉パンはありますが、グルテンが入ってないものは少ないです。私たちは米のプロフェッショナルであり研究を進めていますので、そこから生まれた技術です。

大澤:この商品はどこで買えるのですか?

ジュネジャ:今はイオンや成城石井さんなどで取り扱っています。あとは公式通販ですね。

大澤:アレルギーはとても身近な問題になってきていますから、小麦アレルギーの方も食べられるというのはとても良いですね。

ジュネジャ:3つ目の新ブランド「Rice BIO」の米由来乳酸菌は加熱殺菌体なので、使いやすく、様々な食品に配合できます。「植物性乳酸菌K‐1」は便秘の改善に効果があり、機能性表示食品の実績もあります。「同K‐2」はアトピー性皮膚炎などのヒト試験も実施しています。いずれも米由来ですから、お米の凄さを感じますね。

大澤:お米の可能性も御社の開発力も素晴らしいですね。これらの開発はすべてジュネジャさんが指揮をとってこられたのですか。

ジュネジャ:種は以前からあったのですが、それを整理して形にして世の中に出したという感じですね。おかげさまで色々な経験をさせていただいています。

マーケットは世界人口80億人

大澤:今後グローバルな展開も進めていきますか。

ジュネジャ:「グローバル・フード・カンパニー」となること。これが亀田製菓グループが掲げる大きな目標です。マーケットは日本の1億人ではなくて、世界人口80億人です。

当社は食と米菓を通じて世界にもっと出ていこうと考えており、そのために研究は大切です。研究部門をもっと強化して大きくし、良い商品を開発したいのです。「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」という定番のロングセラー商品のおかげで、盤石な地盤があります。もっと多くの方に、世界中の方に亀田製菓を知っていただき、そして、亀田を感じていただき、愛していただきたいです。と、格好良いことを言ってもなかなかできないんですけどね(笑)

大澤:いやいや、素晴らしいです。ちょうど御社の株主総会が終わり、資料なども拝見したのですが、事業構造の転換というところでやはりM&Aなども検討されているのでしょうか。

ジュネジャ:もちろん、一つの選択肢として視野に入れていますよ。売上を2030年までに倍ぐらいにしようというミッションがあるんですよ。売り上げを内外で1600億円に伸ばしたいと考えています。今は850億円ですから倍近いですが、海外で徹底的に展開したいと思っています。

そのためにも大事なキーワードは2つ。ひとつは「イノベーション」です。どんどん新商品を開発し、当社の強みを思い切りやるということ。もうひとつは「人」です。やる人がいなければ格好良いことを言っても何も変わりません。同じことを延長でやっていても会社としては変化がありませんので、チャレンジする人と組織が大事です。会社として付加価値のある商品を生むためにはイノベーションが必要で、そうするとどんな研究をするべきかが見えてきます。しかし一人ではできませんので、M&A、アライアンス、オープンイノベーションなどあらゆることを進めていかないと。

オープンイノベーションの実現にはリーダーシップが必要

大澤:オープンイノベーションにおける課題はありますか。

ジュネジャ:オープンイノベーションは大好きです(笑)でも課題はあります。分かりやすく言うと「やってない」んですよね。もちろんゼロではなく共同研究などをやっていますが、まだまだ足りないということです。

大澤:M&Aをした会社やオープンイノベーションの取り組みがうまくいかないという企業の声も多く聞きますが、その要因は何だと思われますか。

ジュネジャ:当社だけでなく日本の企業の課題は「マル秘」ですね。マル秘が多い(笑)だから本当にオープンに話しているとは決して思いません。結局最後はみんな守りに入ります。そこはやはり企業ですから、いくらオープンオープンと言えども、競合に情報が届いてしまうのは避けなければなりません。私自身、複数のオープンイノベーションのチームにメンバーとして参加したことがありますが、最終的に結論が出ないんですね。

大澤:そうなんですね。それはなぜなのでしょうか。

ジュネジャ:結論が出ないというより、結論を出さないようにしているという方が合っているかもしれません。テーマはどんどん難しくなりますし、著名な先生方の講演もあります。ただ最後に出口がないんですよ。これは、全ての研究における課題に通じます。どのような成果を出すかという出口がないまま、オープンイノベーションという響きでスタートし、出口がないので成果も分かりづらく途中で迷子になってしまう、そして消えていくという繰り返しです。

大澤:それは企業同士の目論みというか、情報開示としてもこれ以上は難しいという事で幕引きされてしまうのでしょうか。

ジュネジャ:リーダーシップだと思います。

大澤:イノベーションのマネジメントですか。

ジュネジャ:最初は誰もが熱意を持って取り組みますが、どこまでオープンに取り組むかを模索するうちに結局最後に結論がでないパターンが多いと思います。それを打破するためにはやはり、マネジメントが重要で、リーダーシップを誰が執るか、そこに尽きるでしょう。
企業である以上、守るべきところは知財で守らねばなりませんが、オープンイノベーションの実現にはやはり「オープン」であることが重要で、そのマネジメントができるリーダーが出てくることが大事ですね。そういうリーダーの登場を楽しみにしています。

大澤:守りの姿勢が強いという点で、日本のカルチャーとしての影響はあると思いますか。海外ですと、例えばもっとそのあたりをオープンにできるとか。

ジュネジャ:あまりカルチャーで言いたくはないですが、一言で言うと攻めより守りが強いということです。

大澤:コンサバティブということでしょうか。

ジュネジャ:コンサバティブは言い過ぎかもしれませんが、もっと攻めに出て初めてゴールが決まるということです。サッカーでも点を取るためには守るばかりではなく、攻めて相手のゴールに行かないといけませんよね。

大澤:おっしゃる通りですね。

ジュネジャ:ビジネスでもディフェンスばかりが上手くても、他の企業が素晴らしい商品を出してきたらあっという間に負けてしまいます。ディフェンスとオフェンスが両方上手であることが大切ですね。

大澤:やはり会社を守ることも必要なので、頭でわかっていても、動ける所は少ないかもしれませんね。でも変わることを待っていると、現在のビジネスではスピードが間に合わないですよね。

ジュネジャ:そうですね。5年10年20年と同じことをやっていたら、会社は何も進化しません。なので私個人としては先にオープンにして持っていくということを意識しています。こちらがオープンにしたら、相手もオープンになります。何かを持って行ってこそ、何かを得るんです。そういうマインドセットはなかなか変えられませんが、私はこれまでの会社ではそのマインドを変えてきましたし、亀田製菓でも同じように取り組んでいきたいと考えています。

大澤:亀田製菓社の知的財産の戦略的な部分で他社と比べてユニークなところというのはありますか。

ジュネジャ:新しいものに対しては結構特許を押さえたりしていますが、もう少しあっても良いかなと思います。先ほどの守りという点では、知的財産が正しい守りの方法ですね。知的財産として保有すれば自信をもって世界中にライセンスアウトもできます。

複業は「やり方」次第

大澤:当社では研究開発人材のシェアリングビジネスを行っているのですが、他企業に籍を置きながら御社のプロジェクトに関わるということについてはどのように思われますか。

ジュネジャ:大歓迎です。これからもっとオープンイノベーションを行い、様々な人材や企業、大学とアイディアを持ち寄り、商品開発や研究を推進していきます。

大澤:それは米菓業界の経験だけでなくてもですか?

ジュネジャ:もちろんです。プラントベースドフードや乳酸菌などもそうですが、米菓の経験は関係ありません。会社に対して収益を生むことであれば積極的に取り組んでいきたいと思います。

大澤:社員に対してイノベーティブなマインドセットをするというところでは、どういうプロセスが必要ですか。

ジュネジャ:当社の社員は非常に優秀です。とても真面目ですし、ちょっと触ると色々な知識を持っていることがわかります。でも、枠を超えたことが苦手。それが当社の課題です。研究開発というのは枠を超えた事を毎日やることです。ひとつの事の延長ではありません。それができれば会社はもっと大きくなると思います。そのためにも自社の世界だけでの研究は枠を超えられませんので、外部との協力も不可欠です。

大澤:そうですね。開発は、字のごとく開いて発するものですからね。

ジュネジャ:やはり壁を越えて新しいことを創る、新しいことを発信することが大事だと思いますし、私は今までそういうスタンスで取り組んできました。

大澤:そういうオープンマインドに少しずつまた変えていくのでしょうか。

ジュネジャ:優秀な人材は沢山入ってきますし、彼らは彼らの発想を持ってきます。それを活かせば良いのですが、同じ所に固まると同じ事をやるんですよね。そうではなく、もう少し会社の発想を変えられるチームが必要です。だから今新しい食ブランドをやり始めました。これを作っているメンバーは米菓はやっていませんし、米菓は米菓で当社の柱ですからイノベーションを起こさないといけません。でもそれ以外で会社を大きくするためにはM&Aやアライアンス、海外進出等の方法があり、じゃぁどこに?誰と?という点などは検討事項です。

大澤:今まさにオープンマインドやオープンイノベーションを推進するという意味で、アライアンスした会社や出資した会社に自社の研究員や社員を送り込んでスキルを積ませる企業が増えていますが、複業に関してはどう思われますか。

ジュネジャ:前提として亀田製菓はまだ複(副)業を認めていませんが、個人的には良い事だとは思います。社員のやりがいも生まれます。ただ私自身がそういう実態を見てきた中で一つ欠点があるとすれば、本業を忘れがちになることですかね。複業も本業も両方やっていただいて構わないと思いますが、頭と心がどうしても複業の仕事にいってしまいがちです。今はそのあたりも変わりつつあるかもしれませんが、やはり最初は新しい動きの副作用があったんだと思います。だからバランスよく出来る人材でしたら私は賛成ですが、複業に重心が置かれてしまうことは企業としては受け入れられず、複業もなかなか流行りませんね。

大澤:確かに若い人材に対してはそれは大きな問題としてありますね。逆に50代以降などある程度キャリア寿命が見えてくる中で次のキャリアを考えなきゃいけないという社員が、定年までの時間の中で会社に認められた環境で複業しながら会社にナレッジを戻すということであればまた違いますかね。

ジュネジャ:やり方によってですね。誰もが自由に複業を始めて、競合で働くようなことが出てきたら本末転倒ですよね。だからある程度は制限が必要で、これもまたパ―パスですが、誰のために複業するんだということがあれば私は良いと思いますよ。

大澤:おっしゃる通りで、その戦略的なキャリアシステムを当社では作っていきたいなと思っています。

ジュネジャ:複業という仕組みのコンセプトは間違ってないし、やりがいや働きがいにも繋がると思います。ただやり方は工夫しないと、本当に企業間の複業を推進しようと思ったら、特に研究開発の分野ではなかなか難しいですね。でも上手にやっている人もいましたから、とにかくやり方でしょうね。

これからのR&D人材に必要なこと

大澤:最後に1点、研究開発の人材の方にもオープンマインドや攻めの姿勢など専門知識以外の様々な要素が求められるようになってきていると思いますが、研究開発職の方に向けて伝えるメッセージがあるとすればどのようなことでしょうか。

ジュネジャ:研究者や開発者は以前からみんな優秀ですし、色々と積極的に取り組んでいます。そこから更に少し変化を起こし、少しマインドを変えるために世界に乗り出し、広い市場に商品を出すことにチャレンジしてほしいと思います。もう少し勇気と自信とプライドを持ってほしい。私は研究所でも全てのスタートは研究開発からだと伝えています。だから自分たちが会社を作るんだという意気込みやプライドを持って研究に取り組んでほしいですね。

研究開発からモノができ、それが世の中に出る。そこに至るまでには会社の様々な部署の力ももちろん重要ですが、全ての始まりは研究開発職の発想なんです。だからやはり研究開発部門がベースであり、そこから会社を変えていかないといけないと思いますし、それを変えることが私の存在意味でもあると思っています。

大澤:ありがとうございました。まだまだ聞きたいお話がたくさんありますが、時間にも限りがありますので、本日は以上で終了とさせていただきます。

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