複業とは?メリット・デメリットと併せて解説します

2022.03.02

コラム

複業とは?メリット・デメリットと併せて解説します

働き方改革によって現代人の働き方は大きく変化しています。特にこれまでは、1つの企業で働いていた人が複数の企業で働くなど「複業」への関心が高まっており、今後さらに複業をする人の割合は増えていくことが予想されます。

これから複業を始めたいと考えている方に向けて、複業とはどのようなものか、メリットやデメリットと併せてご紹介いたします。

複業とは

まずは複業とはどのようなものか、副業との違いについてもご紹介いたします。

複業とは?

複業とは、同時に複数の本業に取り組むことで、同じ読み方をする「副業」とは異なる意味を持ちます。
これまであまり馴染みのない言葉でしたが、2018年に成立した「働き方改革関連法」をきっかけに、急激に注目されるようになりました。複業を始めるきっかけは「収入アップのため」だけでなく、「スキルアップ」や「自己実現のため」という方も多いです。

パラレルワークとパラレルキャリア

複業と同じように使われる言葉として、「パラレルワーク」と「パラレルキャリア」があります。
それぞれどのような定義があるのか見ていきましょう。

<パラレルワーク>
パラレルワークとは、2つ以上の仕事を同時に進める働き方です。
パラレルは「並列の」を意味し、ワークは「収入を得るための仕事」だけでなく「勉強・作業」などの意味も持ちます。つまり、パラレルワークは複数のビジネスに取り組むことだけでなく、ボランティア活動やアーティスト活動、研究などさまざまな社外活動を平行して継続する働き方です。

<パラレルキャリア>
パラレルキャリアとは、本業にプラスして、第二のキャリアを築くことです。
第二のキャリアは収入を得る活動に限らず、ボランティアなどの社会貢献や自己実現など、人生を豊かにすることを目的としています。
たとえば、「サラリーマンをしながら、カフェのオーナーもしている」「仕事をしながら、ボランティアサイトを通じて発展途上国の支援活動を行なっている」という人はパラレルキャリアの持ち主です。
主となる仕事・サブの仕事といった順序を付けず、どの仕事についても本業と同じように取り組むため、パラレルキャリアは「複業」と同じように使われることもあります。

複業と副業は同じ?

同じ読み方をする「複業」と「副業」ですが、それぞれ意味は異なります。

「副業」は主となる仕事とは別に、サブの仕事があることです。たとえば、平日は主となる仕事、休日にはサブの仕事など、主となる仕事を軸にしながら空いた時間でサブの仕事をこなし、収入アップを目的とすることが特徴です。

一方「複業」は本業が複数あることを指します。数の仕事を掛け持ちしているのは「副業」と同じですが、複業は主となる仕事・サブの仕事といった順序を付けず、同時に複数の仕事に取り組む働き方です。目的も、収入アップやお小遣い稼ぎのためだけではなく、スキルアップや新たな経験を積むためであることがほとんどです。

現在複業をしている人はどれくらい?

ランサーズが行なっている「フリーランス実態調査2021」のアンケートでは、2021年の複業系パラレルワーカー(雇用形態にかかわらず2社以上の企業に在籍し、契約ベースで働くワーカー)の人口は281万人となっており、2015~2021年にかけて3倍以上に増加しています。 さらに「在宅勤務推奨時における副業・複業者のサービス利用状況調査」を見ると、3割の人が2020年2月以降に副業・複業を開始したと回答しており、新型コロナウイルスの流行と在宅勤務の推奨で、副業・複業をしている人が増加したことが推測されます。

複業のメリット

実際に複業を始めることで、どのようなメリットがあるのかをお伝えします。

仕事でのやりがいを実感できる

複業では自分のやりたいことが選べるので、仕事でのやりがいを感じやすくなります。自分のやりたい仕事を選んで取り組むことで、新しい経験を積んだりスキルアップをしたり、「自分にとってのやりがい」を実感しやすいでしょう。

収入アップだけでなく、仕事に対して充足感や手応えを感じやすいのは、複業の大きなメリットといえます。

収入の増加

複業をすることで収入の増加につながります。複業は同時に複数の仕事に取り組むため、副業と同様に収入の増加が期待できます。 また、仕事を通して人とのつながりや信頼関係も構築され、人生を豊かにする新たな財産になるでしょう。

転職や企業、独立などに役立つ

複業の経験があることで、転職をしたいときも大きな失敗につながりにくくなります。理由は、複業に取り組むことでさまざまなビジネスを体験し、自分の向き不向きがわかるようになるからです。

転職をする際には「今よりよい条件で働きたい」「自分のスキルを活かしたい」などと考えて転職先を探しますが、任された役割と自分のできることややりたいことが違った、思っていた業務内容と違った、などという話を聞くこともあります。

しかし、複業によって経験するビジネスが増えれば、転職だけでなく起業・独立の準備としても役立つでしょう。

リスク分散

複数の仕事を持つことは、リスクの分散にもなります。最近では大企業でも倒産することがあり、1つの会社にだけ所属して働くのは「リスク」だと感じる方もいるのではないでしょうか。

たとえ勤め先の倒産や業績の悪化、解雇にあった場合も、複業をしていれば収入源がなくなることはありません。そして、万が一のときは複業で得たスキルや人脈も自分の武器になるでしょう。先行きがわからない時代だからこそ、複業でリスク分散をして万が一に備える方もいます。

スキルアップ

複業はスキルアップにもつながります。1つの業種だけでなく、複数の業種でさまざまな仕事を経験することで、スキルアップや新たなスキルの取得が期待できます。

スキルの幅が広がれば対応できる仕事の幅も広がるため、掛け持ちしている他の仕事によい影響を与えたり、新たな仕事のチャンスをもたらしたりする可能性も増えるでしょう。

複業のデメリット

複業にもデメリットはあります。
ここでは、複業のデメリットにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

長時間労働になりやすい

複業をすると、これまで以上に労働時間が増え、長時間労働になりやすいです。
並行して複数の業務に取り組むため、場合によっては今まで自由時間や休息に当てていた時間が減り、1人にもかかわらずブラック企業のような状態に陥ってしまう可能性もあります。長時間労働になると、最初のうちは勢いやモチベーションの高さで乗り切れますが、継続することは難しいでしょう。

「休むのも仕事のうち」という言葉があるように、モチベーションの高さを保つためには休むことも大切です。長時間労働にならないように気を付けて、時間管理を行いましょう。

負担が大きい

複業をすると、さまざまな面で負担が大きくなるのもデメリットです。複業では、複数の業務の対応やスケジュール、進捗を1人で管理する必要があります。基本的にはフォローしてくれる人もいないため、時間や体力面での負担が増えます。

さらに、すべての業務が本業なので、どの業務でもプロフェッショナルな結果が求められるのも負担となることがあるでしょう。
目先の利益だけでなく、長い目で継続できるように体調管理もきちんとしていくことが大切です。

両立が厳しい可能性もある

業務によっては繁忙期があるだけでなく、トラブルなどで予期せぬ対応に見舞われる可能性もあります。

繁忙期などはある程度予測ができるため、忙しくなる時期には他の業務を減らし、予期せぬトラブルが起きても対応できるようなゆとりを持ったスケジュールを組みましょう。自分のキャパシティを理解せず無理をすると、すべてが中途半端になるだけでなく、周りから自己管理ができていないと思われる可能性もあります。

特に複業を始めてから間もない時期は、想像していたものと実際の業務にギャップを感じやすいでしょう。しっかりスケジュールを立てていても、実際にスケジュール通りになるとは限りません。まずは、自分がどの程度対応できるかを見極めるところから始めてください。

しっかりスケジュール管理をし、どの業務でも結果を出さなければ、両立は厳しい可能性があることを覚えておきましょう。

複業をする際の注意点

複業をするにあたって注意点があります。
複業を始めてからトラブルにならないためにも、事前に確認しておきましょう。

セキュリティ対策は十分にする

複業をするのであれば、厳重なセキュリティ対策は欠かせません。パソコンやスマートフォンのセキュリティ対策を怠ると、大切な個人情報だけでなく、他社の機密情報が流出してしまうリスクもあります。

他社の情報を流してしまうと取引先に損害を与える可能性もあり、大きなトラブルにつながりかねません。場合によっては解雇、さらに事態が重いときには損害賠償請求などにも発展する可能性があります。
複業を続けていくためにもセキュリティ対策は十分にしておきましょう。

勤め先への確認をする

原則として会社が複業を禁止することはできませんが、同業種での複業は禁止など、会社によって判断やルールが異なります。(公務員は複業が禁止されています。)就業規則で複業をするために事前の申請や許可が必要なら、規則に沿って会社に許可を得てから始めましょう。

勤め先に黙って複業を始めて後々複業が発覚すると、会社から処罰を受ける可能性があります。トラブルを起こして周りの人に迷惑をかけないためにも、勤め先に確認をしてから始めましょう。

急な生活の変化に気を付ける

実際に複業を始めてみると、最初は想像していたよりもうまくいかず、仕事の時間が増えてしまうこともあります。そのようなときには、急な生活の変化で体調を崩さないよう、うまくリフレッシュするように心がけましょう。

また、家庭がある方は家族への負担にも気を付けてください。たとえば、今までは休日を家族と過ごしていたのに、複業を始めてから休日も仕事の時間に充ててしまっていては、家族との関係が悪くなることも考えられます。家族からの協力は複業で大きな支えとなることもあります。まずは家族から理解を得られるよう、事前によく話し合いましょう。

「どれくらい仕事の時間が増える」などと伝えるのはもちろん、仕事量は様子を見ながら調整していくことが大切です。

確定申告を忘れない

複業は個人で仕事を行うため、年間20万円以上の所得がある場合は確定申告が必要になります。
「年間20万円以上の所得」と聞くと、「売上が年間20万以上になったら確定申告をする」と思う方もいるかもしれませんが、所得は売上(収入)から経費を引いた金額のことです。

もし、複業の売上が年間20万円あったとしても、複業を行うために使った交通費や仕入れ費用、作業場所を借りている場合は家賃なども経費となり、所得が20万円未満になることもあるでしょう。その場合、確定申告は不要です。

ただし、所得が20万円未満であることを証明するための領収書やレシートは必要です。経費を使った際は、領収書やレシートをもらい、無くさず保管するようにしてください。

就業先の不利益になることをしない

就業先の不利益になるような複業は止めましょう。複業を始める際に「今持っている自分の知識を生かそう」と考える方もいるかもしれませんが「競合他社との複業」や「就業先のノウハウを売り込む」などは就業先の不利益になる行為です。

もし、取引先を奪うなど就業先に損害を与えてしまった場合、罰則を受ける可能性があります。
そのため、たとえ就業規則に決まりがなかったとしても、会社の不利益になるような複業は避けなければなりません。

複業を始めるために必要な準備

最後に、今から複業を始める方へ向けて必要な準備をご紹介いたします。

複業を始める目的を考えよう

複業をする目的は人それぞれですが、スキルアップや収入アップ、新しい経験を積むこと、社会貢献をしたいなどの目的を持つ人が多いのではないでしょうか。

「何のために複業をしたいのか」という目的を明確にすると、どんな仕事を選び、どのような働き方をするのかを決める際の指針になるでしょう。そのためにも、まずは複業を始める目的を整理してみることが大切です。

複業で活かせる強みやスキルを考える

複業を始める目的が明確になったら、複業で活かせる自分の強みやスキルを考えましょう。複業で活かせる強みやスキルから、自分に合った仕事を選ぶことができます。

仕事を選ぶ際に「興味があるから」「収入がよいから」といった理由だけで選んでしまうと、自分の強みやスキルを活かせず複業が難航する可能性もあるでしょう。

せっかく始めた複業を早期に離職しないためにも、自分の強みやスキルを考え、自分に合った仕事を選ぶことが重要です。

条件を考える

働き方や労働時間、給与などの条件も考える必要があります。たとえば現在1つ以上の本業がある場合、本業と両立できる労働時間の調整、本業の時間を減らすなら複業の給与はいくら必要かなど、複業に対する条件があるでしょう。

いざ複業を始めてから条件に合わず継続が難しい状態に陥らないためにも、働き方や労働時間、給与などの条件が自分に合っているかをしっかりと考えておくことが大切です。

複業の探し方

複業の探し方にはさまざまな方法がありますが、インターネットを使って手軽に幅広く仕事探しができるサイトは主に3種類です。

  • 複業やフリーランスに特化したエージェント
  • 複業に特化したマッチングサイト
  • 企業や個人事業主が不特定多数の人に業務を発注するクラウドソーシング

これらのメリット・デメリットを表にまとめました。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の条件に合ったサイトを利用するとよいでしょう。

まとめ

複業とは、同時に複数の本業に取り組む働き方です。これから複業を始めようとお考えの方は、メリットやデメリットをよく知り、勤め先のルールに沿って自分に合った働き方を見つけましょう。

RD LINKは、理系専門職の複業支援サービスです。食品・健康食品、医薬品、医療機器、化粧品領域で研究開発や商品開発、品質管理、生産管理などの理系職経験者の複業(副業)をサポートしています。「専門知識をもっと活かしたい」「研究開発の経験を活かして働き続けたい」という方と、専門知見を持つ人材による支援を求める企業案件をマッチングして繋いでいます。研究開発分野での複業(副業)に興味がある方はぜひご登録ください!

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