フリーランスもパラレルキャリアを始めるべき?パラレルキャリアの始め方を解説
フリーランスで活動している、またはこれからフリーランス転向を考えている方はどのような働き方をしたいですか?フリーランスで活動するならパラレルキャリアについても知っておくことをおすすめします。パラレルキャリアはフリーランスにとっても有意義な働き方です。
今回は、フリーランスがパラレルキャリアを始めるメリットや始め方などについてご紹介します。
そもそもパラレルキャリアとは
まずは、パラレルキャリアがどのようなものかをご紹介します。
・パラレルキャリアとは?
パラレルキャリアとは、1999年にオーストリアの経営学者ピーター・ドラッカーが出版した『明日を支配するもの』で詳細が語られています。著書では、パラレルキャリアの定義を「本業を持ちながら、第二の活動をすること」としており、パラレルキャリアは収入の有無を問いません。そのため、ボランティア活動や社会福祉活動もパラレルキャリアに含まれます。パラレル(parallel)とは平行や並列といった意味があり、本業をしながら別の活動をする「副業」と表現されることもあります。
・副業との違い
副業とパラレルキャリアの違いは、収入を目的にしているかどうかです。副業は一般的に収入を増やすことを目的としており、サブの仕事や収入源と考えられています。しかし、パラレルキャリアは前述でも紹介したように、収入の有無は問いません。パラレルキャリアでも収入が発生することはありますが、あくまでも目的は収入ではなく、将来のキャリア形成やスキルアップです。
・フリーランスでパラレルキャリアをしている人は多い?
ランサーズフリーランス実態調査2021-2022年度版によると、フリーランスの人口は1,577万人にも上ります。雇用形態に関係なく、そのうち2社以上の企業と契約ベースで仕事をこなす「複業系パラレルワーカー」は22.6%を占めており、356万人にも上ることが判明しました。2015年から比較すると、フリーランスの人口は640万人増と大幅に増えていることがわかります。市場規模でもおよそ9.2兆円増加しており、今後もさらなる増加が予測されています。
・パラレルキャリアに注目が集まる理由
医学の進歩により、日本は世界でトップの長寿国になりました。平均寿命が延びたことにより、本業を定年退職した後の生活も当然長く続きます。日本では古くから終身雇用と年功序列という雇用システムを採用している企業が大多数でしたが、平均寿命が延びたことで、1本の仕事だけでは将来設計が不安定になりました。そこで、将来を見据えてどのように生きるのかを考える機会も増え、ライフスタイルやワークスタイルが多様化したことが大きな理由と考えられます。
また、働き方改革によって、本業以外の資本活動を禁止していた企業も副業などを解禁しつつあります。リモートワークやフレックスタイム制など、新しい働き方も徐々に浸透しており、これまで以上に働き方の選択肢が増えたことも原因と言えるでしょう。
従業員がパラレルキャリアを行うことは、企業側にとっても悪い話ではありません。パラレルキャリアを通じて得た新しいスキルや知識、人脈が本業で還元されることは、企業のメリットにもなるでしょう。
パラレルキャリアは現代人にとって、現代社会を生き抜くために必要な働き方と言えます。
フリーランスがパラレルキャリアを始めるメリット
フリーランスがパラレルキャリアを始めると、さまざまなメリットを得ることができます。こちらでは、5つのメリットについて解説していきます。
・キャリアアップやスキルアップにつながる
パラレルキャリアでは、本業とは異なる経験を積むことができます。選ぶパラレルキャリアによっては、これまでとは全く異なる分野でも知識や経験を得られ、新たな強みになることもあるでしょう。
本業に比べて失敗したときのリスクも低いので、多くのことに挑戦しやすいところもメリットです。パラレルキャリアでは、「既存のスキルをさらに磨くこと」と「新たなスキルを得ること」で、2つのスキルアップを目指せます。パラレルキャリアで得た経験は、今後のキャリア形成でも大きく役立つでしょう。
・別の仕事とのシナジー効果が得られる
本業では勤め先の企業や分野でしか通用しないスキルもあります。パラレルキャリアで異なる経験や知識を得ることで視野が広がり、本業でもパラレルキャリアで得たものを活かせるでしょう。
本業ではこれまで当たり前のことだと思っていたものも、パラレルキャリアでは当たり前ではない可能性があります。新たに気付いたことや問題の解決には多角的な視野が必要です。パラレルキャリアの経験を通して、本業やさらに多くのパラレルキャリアで成長を感じられるでしょう。
・収入のアップ
パラレルキャリアでは、収入を目的としていないことが一般的です。しかし、パラレルキャリアによっては収入を得ることもできます。そのため、本業以外に収入源を増やすこともでき、より安定した経済状況につなげることも可能です。
フリーランスの場合、特に収入が不安定な方も多いのではないでしょうか。その点、パラレルキャリアは本業に比べて自由な働き方ができるため、他の業務とうまく調整しながら続けることができ、経済的安定も望めます。たとえ本業で不安定な収入であっても、パラレルキャリアで新たな収入源を得ることで長期的に取り組むことができるでしょう。
・人脈形成
パラレルキャリアをしていると、本業では出会えない人と交流を深めることもできます。本業では決まった相手としか交流がないという方も多いのではないでしょうか?しかし、パラレルキャリアは自由に交友関係を広げることができ、新たな人脈から仕事の幅も広がる可能性があります。人脈によっては今より多くの仕事や経験を得られる機会にもつながるでしょう。
また、パラレルキャリアで得た人脈は本業でも役立ちます。企業側にとっても新たな仕事につなげられるチャンスでもあり、大きなメリットと言えるでしょう。人脈が増えることで、本業でもこれまで以上に評価される可能性もあります。
・自分のマネジメント能力が上がる
パラレルキャリアでは、徹底した自己管理が求められます。パラレルキャリアでは複数の業務にかかわることになるので、当然忙しさも増すでしょう。忙しいと体調も崩しやすくなります。また、体調面の管理だけでなく、納期やノルマの管理も徹底していないと、パラレルキャリアを長く続けることはできません。
そのため、業務の配分、時間の管理、体調管理など多くのマネジメント能力が身につくでしょう。
パラレルキャリアの注意点
パラレルキャリアは、うまく行えば多くのメリットをもたらしてくれます。しかし、パラレルキャリアにも注意点があります。
ここでは、パラレルキャリアを行ううえでの注意点を6つご紹介しますので、よく確認しておきましょう。
・お互いの仕事に悪影響を出さないようにする
パラレルキャリアを始めたとしても、本業とパラレルキャリア、それぞれベストを尽くさなくてはなりません。忙しいからといってどちらかをおろそかにすることはパラレルキャリアの本質からかけ離れてしまいますし、悪い印象を与えます。まずは、スケジュールを詰め込みすぎないことを意識しましょう。パラレルキャリアを始める際は、パラレルキャリアに充てる時間を少しずつ増やしていくようにしてください。
パラレルキャリアは長期的に行うことが大切なので、数日で判断してしまっては意味がありません。まずは週に3時間程度など、少ないと感じる時間から無理なく行うようにしてください。
・セキュリティ対策を行う
もし、本業やパラレルキャリアでパソコンを使う場合、セキュリティ対策には十分気を付けましょう。パラレルキャリアで得た経験は本業でも活かせますが、使い方を間違えると情報漏洩にもつながりかねません。情報漏洩は企業に損害を与えるため、罰則の対象になる可能性もあります。特に、パソコンを複数の業務で共有して使う場合には注意が必要です。情報漏洩の意図がなくても、操作ミスによって情報が流れてしまうこともあるでしょう。
そのため、外部からのセキュリティ以外に、自分でも徹底した管理が必要です。データの保管場所を分ける、Webアカウントを分けるなどの対策を行いましょう。また、事前に本業でパラレルキャリアをしていることを話しておくことも大切です。
・企業によっては副業が認められていない
本業で勤めている企業がある場合、まずは企業の就業規則をよく確認しましょう。働き方改革によって次第に副業や複業を認める企業は増えていますが、まだまだ認めていない企業も存在します。また、パラレルキャリアは副業とは異なる点にも注意が必要です。たとえ収入がないボランティア活動などであっても、禁止される可能性があります。
副業やパラレルキャリアを認めている企業でも、事前に申請や許可が必要なケースもあるでしょう。隠れて行うとトラブルにつながりかねないため、必ず確認しておくことをおすすめします。パラレルキャリアについて理解が得られるよう、どのような目的で行うのか、どんなことをするのか、業務に影響を出さないことなどを伝えておくことも大切です。
・確定申告の必要性
福祉活動やボランティア活動など、報酬がない場合には問題ありませんが、もし収入が発生するパラレルキャリアの場合、確定申告にも注意が必要です。確定申告は、本業以外で1月1日から12月31日までの1年間で、所得が20万円以上発生した場合に行わなくてはなりません。企業に所属している場合は年末調整がありますが、パラレルキャリアの分は自分で確定申告の申請が必要です。万が一、申告漏れがあると税務署の調査対象になり、無申告加算税、延滞税などが新たに課されます。さらに、悪質とみなされた場合は刑事責任を問われる可能性もあるため、申請は忘れないようにしましょう。
・目的などを明確にする
人は忙しくなるとモチベーションが低下しやすく、続きにくくなります。そのため、本来の目的を忘れないことが大切です。なぜパラレルキャリアを行うのかが明確であれば、必要なことも明確になり、モチベーションにもつながります。忙しいときこそ、初心に帰ってモチベーションを維持するように努めましょう。
・本業の肩書などをひけらかさない
パラレルキャリアでは本業でのスキルと同様に、肩書なども通用しないと考えることが大切です。特に、パラレルキャリアを始めて間もないときは新人であることを意識しましょう。年齢や肩書にとらわれないことも、パラレルキャリアには大切です。新しい気持ちで取り組むことで、スキルも取得しやすくなるでしょう。
フリーランスのパラレルキャリアの始め方
フリーランスでパラレルキャリアを始める方法を3つご紹介します。
・社会貢献や奉仕活動から始める
NPO法人や非営利団体での無償活動もパラレルキャリアに含まれます。とにかく経験を得たいと考えている方におすすめの方法です。活動の種類によっては素人であってもすぐにできるものもあります。企業によってはボランティア休暇制度もあるので、利用すればより取り組みやすくなるでしょう。
・専門機関などで講習を受ける
専門的スキルを得たいと考えている場合、専門学校や講習会などに参加してみるのがおすすめです。専門機関での講習は参加費用が発生することがほとんどですが、なかには無償で受けられるものもあります。今後活かせるスキルであれば自分への投資になるのでしょう。
・趣味や特技を活かす
趣味や特技を活かすこともパラレルキャリアにつながります。特に豊富な知識がある場合、高い需要があるかもしれません。資格がなくても活かせるものはたくさんあります。たとえば、イラストを描くのが好きであれば画像ソフトの講師、アウトドアが趣味であればインストラクターとして活躍することができるでしょう。
まとめ
パラレルキャリアはビジネスパーソンだけでなく、フリーランスにとっても有意義な働き方です。たとえフリーランスとしてすでに活躍していても、パラレルキャリアで全く異なる業務に携わることでさらに新しい働き方ができるかもしれません。
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