正社員でも複業できる!どれくらいの人が正社員で複業している?
正社員は非正規雇用の人に比べて企業側からの恩恵を受けられる一方で、さまざまなことに制限があります。そのため、今以上に自由度が高い働き方をすることは難しいと感じている方もいるのではないでしょうか。しかし、正社員であっても複業をしている人はいます。
今回は正社員で複業をしたいと考えている方に向けて、複業をしている人の割合や注意点を解説します。
どれくらいの正社員が複業している?
正社員の複業は法律的に問題ありませんが、実際はどれくらいの正社員が複業しているのでしょうか。以下では、正社員で複業をしている人の割合や、複業を始めるきっかけなどを詳しく解説します。
正社員で複業をしている人は増加傾向にある
総務省統計局の「平成29年就業構造基本調査結果」によると、正社員で副業をしている人の割合は平成24年の1.8%から、わずか5年後の平成29年には2.0%に増加しており、複業(副業)をしている正社員の数が増えていることがわかります。
また、令和3年に行われた株式会社パーソル総合研究所の「副業に関する調査結果(個人編)」では、正社員のうち複業を行っている人の割合は9.3%でした。さらに現在複業を行っていない正社員のうち、約4割の人が今後副業をしてみたいと回答しています。
以上のことから、複業をしている正社員の割合は増加しており、今後も増加していく可能性が高いと考えられます。
複業をしている人のきっかけ
株式会社パーソル総合研究所の「副業に関する調査結果(個人編)」によると、初めて副業を始めた時期は、厚生労働省のモデル就業規則改定後となる2018年以降が約52%、新型コロナ感染拡大以降が約25%となっています。
新型コロナウイルスが感染拡大してからは、リモートワークを取り入れる企業が増加し、以前よりも複業がしやすい環境となりました。これにより、新たな収入源を確保するために複業を始める人が増えています。
実際に正社員で複業はできるのか?
先述の通り、正社員の複業は法律的に問題ありません。むしろ、厚生労働省が定める「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、複業を推奨しています。
しかし、会社によっては就業規則で複業を禁止しているところもあります。就業規則で禁止されているのにもかかわらず複業を始めてしまうと、就業規則違反に問われるリスクやトラブルにつながる恐れがあるため、注意しましょう。
企業が複業を禁止している理由
国が複業を推奨しているにもかかわらず、現在も多くの企業が複業を禁止しているのはなぜなのでしょうか。以下では、その理由を3つ紹介します。
<パフォーマンスの低下>
正社員が複業をすると、肉体的・精神的な負担が大きくなります。
肉体的・精神的な疲労は、パフォーマンスの低下につながると考えている企業も少なくありません。
<情報漏洩のリスクがある>
複業をすると、職場で知り得た情報や知識が漏洩する可能性も高くなります。
特に、関連業界やライバル企業に機密情報が流出してしまうと、企業としてのダメージは大きくなるでしょう。企業の機密情報が外部へ漏れてしまうことを懸念し、複業を禁止するケースも多いようです。
<企業への影響>
複業する仕事の内容によっては、企業の信用にもかかわります。
たとえば、社員の中に複業としてマルチ商法や詐欺行為などを行っている人がいた場合、公になれば企業のイメージダウンにつながる可能性があるでしょう。また、競合他社で副業をしていた場合、自社の利益低下につながることがあるため、利益相反に当たる複業を制限するケースがあります。
正社員が複業をする際のメリット
正社員が複業をするメリットは、以下の4つです。
自分のやりたいことを仕事にできる
複数の本業があるため、仮に1つの仕事で失敗しても収入がゼロになることはありません。そのため、自分のやりたいことや興味のあることに挑戦しやすくなるのがメリットです。自分のやりたい仕事を選んで取り組めるため、仕事でのやりがいを感じやすくなるでしょう。
人脈ができる
複数の仕事をすると出会いの幅が広がり、1社で働くときよりも多くの人脈を作れます。正社員以外の仕事でつながると、新たな価値観の獲得や視野の広がりにもつながるでしょう。それに加えて、形成した人脈から新たな仕事が舞い込んでくる可能性もあります。
スキルアップできる
複業をすると、正社員として働いている仕事では得られないスキルを身につけることができます。複業で得たスキルを他の仕事に役立てることも可能です。スキルアップすることで、新たな仕事の獲得につながるチャンスもあります。
収入アップにつながる
複業は本業が複数あるため、収入アップにつながります。
また、正社員として勤務している会社が倒産したりリストラにあってしまったりする可能性もゼロではありません。複業で収入源を増やすことは、そうした場合のリスクヘッジにもなります。
正社員が複業する際のデメリット
正社員の複業にはたくさんのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。主な6つを紹介します。
複業を会社に隠すことはできる?
複業は隠しても、住民税の額や年末調整などでバレる可能性があります。そのため、事前に上司に相談してから始めるのがおすすめです。
複業が発覚しやすい原因
複業が発覚しやすい原因は、住民税と社会保険、年末調整です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
<住民税>
住民税は、都道府県や市区町村など、住んでいる自治体に対して納める地方税の一つです。
納税方法は「普通徴収」と「特別徴収」の2つで、ほとんどの会社員は特別徴収で住民税が給与から天引きされています。
住民税の額は前年の所得に応じて決まるため、会社の給与自体はそれほど変化がないにもかかわらず金額が上がっていると、複業を疑われてしまうでしょう。
<社会保険>
社会保険とは、「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」「介護保険」の総称です。以下の条件を満たす場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入義務が発生します。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 賃金の月額が月8.8万円以上(年間約106万円以上)
- 2か月を超えて使用されることが見込まれる
- 従業員数101名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いている
- 学生でない(夜間や定時制除く)
社会保険加入義務要件を満たす勤務先が複数ある場合には、「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。この届出により、2か所以上の給与を合算した金額から社会保険料が算出されるようになるため、社会保険料の金額にズレが生じて複業の発覚につながることがあります。
<年末調整>
年末調整の際には、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」の提出が必要です。
この書類には「給与所得以外の所得の合計額」という欄があり、ここに複業で得た所得の金額を記載することでバレる場合が多いでしょう。また、1つの会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を、それぞれの会社に誤って提出してしまった場合も複業がバレる可能性があります。
他の仕事との兼ね合いを考える
複数の仕事をすると労働時間が延び、他の仕事のスケジュールを圧迫してしまう可能性があります。特に、残業時間が予測できない仕事の場合はスケジュールも組みにくく、複業が難しく感じるでしょう。そのため、複業をやる前にはそれぞれの仕事に必要な時間を把握しておくことが大切です。
複業の仕事内容
複業の仕事内容にも注意が必要です。
特に、複業の仕事内容が他の仕事内容と類似している場合、企業への損害を与えるとみなされる可能性があります。そのため、関連業界やライバル企業での複業はできるだけ避けるのが無難です。また、会社や仕事を通じて得た情報を外部に漏らさないよう、細心の注意を払いましょう。
生活に支障が出ないようにする
複数の本業をかけ合わせると、自然と休息の時間や睡眠時間が減ってしまいます。
生活に支障をきたさないためにも、体調管理やスケジュール管理など、自己管理を徹底しましょう。また、複数の仕事に全力を注ぐと、肉体的な疲労や精神的なストレスも溜まっていくため、定期的なリフレッシュが大切です。
確定申告の必要性
確定申告とは、その年の所得とかかる税金を計算して税務署に申告することです。複業で得た年間の所得が20万円を超える場合は、確定申告を行う必要があります。ただし、ここでいう所得とは売上から経費を引いた金額です。
たとえば、複業で売上を50万円あげていても、経費が40万かかっている場合は、所得が10万円(20万以下)になるため、確定申告を行う必要はありません。なお、2か所以上の会社から給与をもらっている場合、1つの会社で年末調整を行っていたとしても、もう片方の所得が20万円を上回っている場合は確定申告が必要です。
確定申告の対象者であるにもかかわらず申告を怠った場合は、ペナルティとして延滞税や無申告加算税が課される可能性があるため、注意しましょう。
正社員で複業を続けるために大切なこと
正社員で複業を続けるために大切なことは、以下の3つです。
自己管理を徹底する
複業を行うと、仕事の納期やスケジュール、お金、体調など、多くの管理が求められます。そのため、自己管理を徹底することが大切です。複数の仕事を同時に進める分、しっかりと優先順位をつけて実行しましょう。
複業でする仕事の選び方
複業でする仕事は、時間を切り売りするアルバイトや派遣などではなく、自分のスキルの向上につながるものがおすすめです。適性がある仕事を選べば、将来のキャリアアップや転職の際などに役立たせることができます。
自発的に行動すること
複業を長く続けていくためには、自発的な行動が大切です。常に新しい知識やスキルを習得したり、交流会やコミュニティに顔を出したりしましょう。
まとめ
会社の就業規則にもよりますが、正社員の複業は法律的に問題ありません。
むしろ、厚生労働省が定める「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では複業を推奨しています。正社員が複業をすると、仕事でのやりがいを感じやすくなったり人脈が広がったりなどのメリットがあります。
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