業務委託とはどのような働き方?メリット・デメリットを解説

2022.12.23

コラム

業務委託とはどのような働き方?メリット・デメリットを解説

最近は、1つの企業と雇用契約を結ぶ働き方以外にもさまざまな働き方が増えています。フリーランスとして働いている人は業務委託で仕事を受注しますが、具体的に業務委託とはどのような仕事なのでしょうか。
今回は、フリーランスの働き方に興味がある人に向けて、業務委託とはどのような働き方なのかを解説します。

業務委託とは

業務委託とは、企業と雇用契約を結ばない働き方です。企業に属さず個人や法人として業務を請け負い、成果や業務行為に応じた報酬を収入としています。主に、フリーランスで働く人にとって主流となる働き方ですが、政府が主導する働き方改革を受けて今注目されている働き方の一つです。
ここからは、業務委託の特徴やその他の雇用形態との違いを紹介します。それぞれの雇用形態とどのような点が異なるのか、参考にしてみてください。

業務委託とは?

業務委託は企業と雇用関係にない事業者に向けて、仕事を委託する際に結ぶ契約です。成果報酬型の支払いを採用している企業が多く、納品するたびに対価が得られる仕組みとなっています。
また、稼働時間などの決まりがなく、ライフスタイルに合わせた自由な働き方ができるのも業務委託の特徴です。成果物を期限内に納品するなどの条件さえ満たせば報酬を得られるため、空いた時間に少しずつ作業を進めるといった働き方もできます。

雇用形態の違い

<雇用契約>

雇用契約は、企業と雇用関係を結ぶ契約です。雇用契約を結んだ従業員は、社員やアルバイト、パートなどの雇用区分に分けられます。いずれの場合も雇い主と従業員という関係が発生し、従業員は雇い主の指導に従って働くことが特徴です。報酬においては、労働時間数が月ごとに定められており、月給や時給といった形で毎月の労働に見合った給与が与えられます。

<派遣契約>

派遣契約は、派遣会社に所属する従業員が、他の企業に派遣されて労働する際に交わされる契約です。雇用契約と同様に、派遣会社と雇用契約を結びますが、実際の業務についての指揮命令は派遣先の企業が行います。契約期間が定められており、期間が満了した時点で企業先企業との派遣契約が解除される仕組みです。しかし、契約期間内に契約更新の手続きを行うことで、継続的に業務にたずさわることもできます。

<業務委託契約>

業務委託は、企業と雇用関係にない個人や企業に業務を委託する際に交わされる契約です。作業量ではなく、成果物の納品に対して報酬が支払われるため、企業から業務の進め方について指揮命令されることがなく、時間的な拘束もない自由な働き方ができます。ただし、仕事を請け負う企業ごとに業務委託契約を結ぶ必要があります。企業によって契約内容が異なるため、必ず詳細を確認してから契約を結ぶことが大切です。

業務委託契約は2種類ある

<委任・準委任契約>

委任・準委任契約は、業務の成果を形として残しにくいものに対して、成果物ではなく業務行為自体を報酬の対象とする契約です。主に、法律行為や人に直接かかわる仕事を委託する際に契約します。具体的な職種としては、弁護士、医師、受付、エステティシャン、美容師などです。成果報酬として提示できない場合でも委託の対象となるため、委任・準委任契約を交わすことにより、幅広い分野での業務委託が可能になります。

<請負契約>

請負契約は成果物を納品することによって、対価として報酬が発生する契約です。成果物を作成するためにかかった時間や労力などは加味されず、期日までに仕上げて納品することのみが求められます。成果物を形で残しやすいデザイナー、ライター、プログラマー、エンジニアなどが契約の対象です。委任契約とは異なり、時間的な拘束がなく成果につなげるプロセスを自由に設定できることが大きな特徴と言えます。

業務委託はフリーランス?

業務委託はフリーランスと同じ意味に受け取られることがありますが、それぞれ意味合いが異なることに注意しましょう。フリーランスは働き方を示す言葉であり、業務委託は契約方法を表します。
フリーランスは企業と雇用契約を結ばず、業務委託として契約するケースが多いことから、業務委託=フリーランスのイメージが強くなりました。しかし実際は、企業間でも業務委託は頻繁に行われており、フリーランスのみが行う契約というわけではありません。

企業が業務委託を使いたい理由

仕事を依頼する企業で業務委託の需要が増えている理由は、コスト面でのメリットの大きさが挙げられます。専門知識をもつ人に業務を委託できるため、人材育成の手間がかからず、必要なときだけ仕事が依頼できるうえ余分な人件費がかかりません。
これによって社内の従業員に、スキルを習得させる時間とコストを大幅に減らせます。また、作業に不慣れな社内の従業員に他の業務を回せるため、仕事の効率化にも効果的です。

業務委託で働くメリット

自由度の高い働き方ができる

業務委託には、働く時間や場所といった拘束がありません。働く場所や時間を自分で選べるため、生活に合わせた働き方が実現できるでしょう。子育てや介護といったライフイベントにも合わせやすく、仕事のスケジュールを自分で決めて好きなペースで働けることもメリットです。

得意分野で仕事ができる

業務委託では、得意分野や専門スキルを要する仕事のみ請け負うことも可能です。業務委託では仕事内容を自分で選べるため、条件に合わない場合は無理して請け負う必要がありません。得意分野の知識や技術をさらに深めたい人や、分野に特化した実績作りによって差別化を図りたい人は、技術を磨ける仕事を積極的に請け負うようにしましょう。

高額な報酬を得られる可能性がある

専門性を要する仕事を請け負った場合、企業で働くよりも得られる報酬が高額になる可能性もあります。専門的な知見や技術は、付加価値として企業に評価されやすいからです。そのため、専門性を要する案件は、成果物に対する報酬が高く設定されている傾向にあります。その分、通常の案件よりも知識量が問われるほか、経験や実績などが必要になり、仕事のハードルも高くなるでしょう。

業務委託で働くデメリット

業務委託で働くことを視野に入れている方は、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで検討することが大切です。この章では、業務委託で働くデメリットを紹介します。

労働基準法は適用されない

業務委託で働く場合、労働基準法は適用されません。あくまで労働基準法は、雇用契約を結んだ者のみに適用される法律であるためです。業務委託には労働時間の上限がないことに加え、万が一トラブルが起こった場合も保障されないことがデメリットとして挙げられます。つまり、自分で仕事をセーブしなければ、過労で健康を害してしまう可能性もあるでしょう。業務委託で仕事をする際には、徹底した自己管理が必要です。

安定した収入が得られない可能性がある

企業に雇用されている場合は、毎月安定した収入が得られますが、業務委託で働いている場合は安定した収入を得るのが難しい傾向にあります。常に仕事が入ってくる保証もなく、仕事量も一定ではないことから安定した収入につなげにくい側面もあるでしょう。

事務仕事や手続きを自分でしなければならない

業務委託で働く場合は、保険の手続きや確定申告などの手続きをすべて個人で行います。特に、確定申告では収入や経費などを正確に申請しなければならないため、日頃から帳簿をつけるなどして管理を徹底する必要があります。

業務委託に向いている人・向いていない人

業務委託は自由度が高く、企業勤めと働き方が異なるため、人によって向き・不向きが分かれやすいでしょう。自分が業務委託に向いているのかどうか知りたい方は、以下の項目を参考にしてみてください。

業務委託に向いている人

<自己管理ができる>

自己管理ができる人は、業務委託で請け負った仕事を計画的に進められるでしょう。業務委託では成果物の納品が最大の課題となるため、期日までに不備なく完成させる必要があります。自己管理ができる人であれば、複数の業務を任された際にも期日までに仕上げられるよう段取りができるでしょう。また、体調面に気を配りながら、無理のない範囲で働けることも強みです。

<自分の生活に合わせて仕事がしたい>

自分のライフスタイルに合わせて仕事がしたい人も、業務委託に向いていると言えるでしょう。業務委託には、時間や場所に縛られずに働けるという特性があります。納期さえしっかり守っていれば、自分のライフスタイルに合わせて仕事の時間帯や場所を自由に選ぶことが可能です。まとまった時間を作ることが難しい人や、早朝や深夜に仕事がしたいという人には大きなメリットと言えます。

<さまざまな仕事がしたい>

業務委託で請け負える仕事には、さまざまな業種があります。そのため、得意なジャンルだけでなく、新たなジャンルを開拓しながらスキルを身につけることも可能です。さまざまな業種に挑戦することで視野が広がり、自分の新たな才能や可能性を見つけるきっかけにもなるでしょう。

業務委託に向いていない人

<安定した生活をしたい>

収入面での安定を求める人は、業務委託での働き方に向いていません。業務委託は企業との雇用関係をもたないため、月給制がなく、ひと月ごとの収入が変動しやすいでしょう。また、仕事が継続的に確保できる保証もないため、しっかりした地盤で安定的な収入を得たい人は雇用関係のある働き方が適切です。

<自発的に動くことが苦手>

自分から積極的に行動できない人は、業務委託を行う際に仕事が決まりにくいでしょう。業務委託では、企業から率先して仕事を依頼してくれるわけではありません。あくまで自分から企業にコンタクトを取ったうえで、仕事を任せてもらわなければ収入は得られないのです。自発的に売り込めなければ得られる仕事が少なくなり、結果として収入につながりにくいでしょう。

業務委託を始める際の注意点

業務委託を始める際には、注意しなければならないことがあります。スムーズなスタートを切れるように、最低限の注意事項を守って業務を行うことが大切です。予期せぬトラブルを防ぐために、以下の項目を確認しておきましょう。

契約内容はよく確認する

企業と業務委託契約を結ぶ場合は、基本的な業務の内容や業務範囲、報酬の金額、納期を確認しておくことが大切です。契約を結んだ後で希望に沿わないことが判明した場合、断りづらいだけでなく、企業との関係が悪くなるなどトラブルにもつながりかねません。企業と契約を結ぶ際には確認すべき内容をしっかりと押さえましょう。

開業届は必須?

業務委託を行うにあたって、継続的に仕事を請け負っていく予定であるならば、開業届を出すのがおすすめです。開業届は事業を開始した日から1か月以内に提出する必要がありますが、開業届を出さない場合も業務に支障はなく、罰則などもありません。
しかし、開業届を提出して個人事業主として業務を行うことで、確定申告の際の控除額が大幅に増えるため、メリットとして覚えておきましょう。

再委託について

業務委託で仕事を請け負った場合は、再委任の可否を企業側に確認しておくことが大切です。許可なく第三者に請け負った仕事を再委託することは避けなければなりません。許可を取らずに再委任を行ってしまった場合、求められているクオリティに達していない可能性があるほか、企業からの信用を失うことになるでしょう。

損害賠償条項について

業務委託を受けている仕事で、万が一トラブルが発生したときに備え、損害賠償条項は必ず確認しておきましょう。責任を問われた場合の賠償金額を少なくするためには、損害賠償の制限の有無を確認しておくことが重要です。なお、損害賠償の制限は「上限金額による制限」と「損害の種類による制限」の2種類に分けられます。

まとめ

業務委託は企業の雇用契約とは異なり、自由度が高く、プライベートと両立がしやすい働き方です。近年では雇用契約と同時に業務委託契約を結び、複業をする人も増えてきています。
一方で、自分個人で契約内容に責任を持つことに不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
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