副業の顧問はどんな仕事?知っておきたい仕事内容やメリットとは

2022.09.01

コラム

副業の顧問はどんな仕事?知っておきたい仕事内容やメリットとは

副業を始めたいと考えている方の中には、顧問という職業に興味がある方もいるのではないでしょうか。しかし、顧問といってもどのような仕事かあまり想像がつかないという方もいると思います。そこで今回は、副業顧問がどのような仕事か、仕事内容と併せてメリットなどをご紹介します。これから副業を考えている方はぜひご一読ください。

副業顧問とは

顧問は企業の重役の一つとして知られる役職ですが、副業でもできることをご存じですか?以下では、副業顧問の概要や現状、対象者などについて解説します。

副業顧問とは?

副業顧問とは、これまで培ってきたビジネス経験や専門知識などを生かし、企業の経営や事業成長などをサポートする職種です。企業に勤めながら副業として顧問業をしている方や、会社経営を行いながら複業として顧問業をしている方など、人によって働き方はさまざまです。収入アップの目的だけではなく、自分のキャリアアップのために顧問業を選択する人も多いため、熱意をもって業務に取り組んでいる方が多い傾向にあります。

副業顧問の現状

業務の可視化やビジネスサイクルの高速化などによって、副業顧問のニーズが高まりつつあります。
一般的に顧問は、「ただそこにいるだけの人」や「ただ人脈をつなぐだけの人」などのあまりよくないイメージをもたれやすい傾向にありますが、近年ではその役割が見直され始め、より専門的な知識のある人材を顧問に登用する企業が増えています。かつての顧問という役割は、代表取締役や役員などを引退した方が就任するのが一般的でしたが、近年ではそのような重役を経験したことがない方でも、顧問として働けるチャンスがあります。

顧問は誰でもなれる?

一般的に、顧問は役員でなければなるのが難しいと思われがちですが、実際のところ課長クラスの経験がある方であれば十分に活躍することが可能です。他にも、弁護士や税理士などの士業や経営者などの経験がなくても、IT系や金融系、建築系などの特定の分野で専門的な知識や経験のある場合は、さまざまな企業から重宝されるでしょう。

顧問の種類

顧問は「内部顧問」と「外部顧問」に分類が可能です。業務内容は共通していますが、契約方法が異なるため、以下ではそれぞれの特徴と契約方法について詳しく解説します。

<内部顧問>

内部顧問とは、社内で選ばれて顧問になった人です。
もともとその会社で管理職や役員などを務めていた方が引退した後に顧問として登用されるのが一般的ですが、なかには役職と内部顧問を兼任している方もいらっしゃいます。内部顧問は後述する外部顧問よりも社内事情をよく理解しているため、企業側にとってより適切なアドバイスを受けられるのがメリットです。ただし、顧問の勤務形態は企業によって異なり、常勤の場合もあれば非常勤の場合もあります。

<外部顧問>

外部顧問とは、言葉の通り外部から雇われた顧問です。
一般的に、弁護士や税理士、経営コンサルタントなどの専門知識を保持している人が外部顧問として雇われる傾向にあります。ITの発展とともにビジネスモデルが変化してきており、より専門的な知識がある人材のニーズが高まっています。外部顧問は客観的な助言を行えることに加えて、必要な場合のみ契約できるため、企業側のメリットも多いのが特徴です。また、外部顧問からは社内にない新しい視点からの助言を受けられるので、企業として成長できる可能性があります。

顧問と他の役職との違い

「相談役」や「役員」、「参与」は顧問と混同されやすい役職です。以下では、それぞれの仕事内容と顧問との違いについて解説します。

<相談役との違い>

相談役は顧問同様、実務的なアドバイスをする役職ですが、設置は企業の任意です。
一般的に取締役や社長などの社内実力者が退任後に就くケースが多く、会社の経営時に生じるさまざまな問題に対してアドバイスを行います。それに対して顧問は、より専門的な立場から実務についてのアドバイスを行うことが多く、専門的な視点やノウハウを求められるのが特徴です。

<役員との違い>

役員は会社法に定められている役職です。
「取締役」「会計参与」「監査役」などで構成されており、会社組織を作ったり経営方針を立てたりなどの業務を行います。会社全体の方針を決める権限をもっている点が、顧問や相談役とは異なります。

<参与との違い>

参与とは、専門的な知識をもつ就業員に与えられる役職です。
一般企業における参与は、基本的に経営幹部の下位に置かれており、主に会社の業務管理を行います。
顧問同様、経営のアドバイスや経営者の補助をする機会もありますが、参与には経営に関する意思決定権が与えられます。

顧問に適している人はどんな人?

どんな人が顧問の仕事に向いているのでしょうか。以下では、顧問に適している人の特徴を2つ紹介します。

人脈や経営経験が豊富な人

顧問は専門的な知識を生かして、契約先の企業が抱えている問題を解決する能力が求められます。そのため、問題解決につながるような人脈や企業側にない経営経験が豊富な方におすすめです。

高いコミュニケーション能力がある人

顧問として企業の問題を解決するには、まず企業との信頼関係を築くことが大切です。そのため、顧問の仕事はコミュニケーション能力に自信がある方に向いています。経営戦略を相談する中で企業内部の状況や情報を聞き出す機会もあるため、信頼して任せてもらえる存在になることが大切です。 

企業が顧問を必要とする理由

最近では特に、外部顧問のニーズが高まっています。
以下では、企業が特定の業務について、専門的な知識と経験をもつ人材を顧問として迎え入れている理由を4つ紹介します。

より事業を成長させたい

事業の成長を加速させたいという目的で、経営経験が豊富な人を顧問として迎え入れる場合も多くあります。
たとえば、これまでアナログを主流としていた企業がIT化やDX化を進める場合、社内で進めるよりもITやDXの専門分野に精通している人に依頼したほうがスムーズに進むでしょう。このように、自社にはないノウハウを獲得し、事業成長に拍車をかけたいという目的で顧問を迎える企業が増えています。

市場変化に適応したい

IoTやAI技術の進化によって、社会や経済は以前よりも非常に速いスピードで変化しており、スピード感のある経営判断が求められるようになっています。しかし、柔軟な視点を持つことが難しかったり社内にノウハウのある従業員がいなかったりなどで、経営課題を感じている企業も少なくありません。そのため、課題解決についてのアドバイスを依頼できる専門性が高い顧問のニーズが高まっていると言えます。

人材育成をしたい

経営課題の解決と併せ、人材育成につなげたいと考えている企業もあります。
ただし、経営課題解決に向けたアドバイスをするだけではなく、今後も活用できるノウハウを提供して契約先の従業員が自走できる状態にまで引き上げるのも、顧問の大切な役割です。

コンサルティングからのリプレイス

企業の中には、これまでコンサルタントに依頼をしていたものの、予算の関係で顧問にリプレイスしたいと考えているところもあります。一般的にコンサルタントと顧問の費用は、どちらも契約を結ぶ企業が抱えている問題や業務内容によって異なるため、相場はありません。しかし、多くの場合はコンサルタントよりも顧問に依頼したほうが予算を抑えられます。

顧問になるメリット・雇うメリット

顧問になるとどのようなメリットを得られるのでしょうか。以下では、顧問になるメリットに加えて、雇う側のメリットも紹介します。

顧問になるメリット

顧問になる主なメリットは以下の4つです。

<新たなスキルや経験が得られる>

企業が抱える問題は、「どのようにIT化やDX化を進めたらよいかわからない」「新規顧客を獲得したい」「他社との差別化を図りたい」など、さまざまです。顧問になると、企業ごとに異なった問題に向き合う必要があるため、新たなスキルや経験が得られます。副業顧問の仕事を通してノウハウを新たに獲得することで、今後のキャリア形成にも役立つでしょう。

<自分の価値を高めることができる>

副業で顧問を行うと、他の会社の方々と接する機会が多くなり、さまざまな考え方や価値観を持つ方と触れられます。特に、1つの企業で長く勤めているとその企業でしか通用しない考え方に偏りがちですが、顧問の仕事をすることで多様な考え方を取り入れることができ、視野が広がります。今までの経験や考えにとらわれることなく、新たな視点から見られることで、自分の価値も高められるでしょう。

<別の仕事に経験が活きる>

顧問は難しい問題を取り扱うことが多いため、仕事をこなしているうちに自然とスキルや知識が蓄積されます。顧問を通して学んだことや経験は本業でも大いに生かすことが可能です。特に会社の経営や売上アップに貢献できれば、活動の幅を広げられるでしょう。

<収入アップ>

当たり前のことではありますが、顧問の仕事を副業ですると本業以外の収入が発生するため、収入がアップします。会社の中で給料を一気に上げていくことは困難ですが、顧問の仕事は自分が頑張った分だけ収入が増える可能性があり、継続していくうちにお金にも余裕が生まれるでしょう。また、収入の柱が増えることでリスク分散ができ、気持ち的にも楽になるはずです。

顧問を雇うメリット

副業で顧問を行うとさまざまなメリットを得られますが、雇う側にもメリットがあります。以下では、顧問を雇うメリットを3つ紹介します。

<問題解決>

顧問を雇うと、企業が抱えている問題の解決につながるというメリットがあります。
特に、抱えている問題に対してのノウハウをもっている人材が社内にいない場合、解決するのが困難です。
顧問を雇うことで、社内の事情や過去の経営経験に囚われない客観的な意見を助言として得られるため、スピーディな問題解決につながります。

<費用対効果>

顧問はコンサルタントよりも費用を抑えて経営問題を解決できるメリットがあります。
コンサルタントに依頼した場合、プロジェクトによっては月額の費用が数千万円にのぼる場合もありますが、顧問の場合は定額報酬でも月額数万〜十万円程度で雇えることがほとんどです。顧問の費用はスポット契約や成果報酬型など、雇い方によって多少異なりますが、いずれもそこまで高額ではありません。それに加えて、コンサルタントよりもさらに踏み込んだアドバイスをもらえるため、高い費用対効果を実現できます。

<人材育成コストの削減>

問題解決に必要な専門的な知識を従業員に教える場合、育成にはそれなりの時間やコストがかかります。
しかし、顧問はすでに専門的な知識や経験を持ち合わせているうえ、雇うことで自然に従業員にもノウハウが溜まっていくため、大幅な育成コストの削減が可能です。特に、人材が不足している企業では、専門的な分野を顧問に任せることで時間に余裕が生まれ、経営陣はそれぞれの業務に専念できるというメリットも得られます。

副業で顧問になる際の注意点

顧問になるとさまざまなメリットを得られますが、副業で始める際にはいくつかの注意点があります。

知見があり、やりがいがある業種や分野を選ぶこと

副業で顧問を行う際、特に最初のうちは知見があり、やりがいのある分野を選びましょう
理由としては、これまでの自分の経験や培ってきた知識を大いに生かし、より専門家として成長できるためです。反対に、知見のない分野やまったく興味のない分野を選んでしまうと、途中で挫折してしまう原因にもなりかねません。引き受ける仕事を報酬の高さで選ぶのもよいですが、報酬以外のメリットがない場合は引き受けたところで苦痛を感じてしまうでしょう。副業をするにあたって、まずは「楽しい」という感情であることが大切です。

税金や保険について考える

副業顧問として収入を得た場合、収入の額によっては税金や保険の費用が変わります。
年間所得が20万円を超えた場合は、自分で確定申告をしなければなりません。また、確定申告をすると、収入によっては給与から天引きされる住民税の金額が増えるため、会社に副業がバレてトラブルにならないよう、事前に会社としっかりと話し合い、理解を得ましょう。なお、確定申告は自分でもできますが、あまり知識がないまま手続きしてしまうとミスが発生する可能性があります。特に不安がある最初のうちは、プロの税理士に依頼するとよいでしょう。

競合他社とのかかわり方

勤め先と競合する企業に顧問として入る場合は、トラブルにつながる可能性があるため注意しましょう。
自分が競合の企業に顧問として経営や事業に関する助言をした結果、そこの事業が飛躍する可能性があります。そのため、本業と似ている職種や競合する企業に顧問として入る可能性が出てきた場合は、あらかじめ自社に相談しましょう

副業顧問になる方法

副業顧問になる主な方法は以下の3つです。

転職サイトに登録する

転職サイトは転職するときだけではなく、副業を始めたいときにも役立ちます。
求人の中には、「副業・兼業可」と書かれているものも多く、複数の転職サイトを登録することで、応募できる企業の幅が広がるでしょう。
なお、顧問は専門的な知識が求められる職種であるため、幅広い分野の求人が掲載されている「総合型転職サイト」よりも、特定の業界や職種などに絞った求人を載せている「特化型転職」を利用するのがおすすめです。特にスキルや経歴を見て企業側がスカウトをする「スカウト機能」があるサイトであれば、仕事を探す手間や時間を削減できるでしょう。

顧問専用派遣会社への登録

転職サイトと並行して、顧問専用派遣会社へ登録するのもおすすめです。
顧問専用派遣会社は顧問を探している企業が利用するサービスであるため、自分に合った企業の求人が見つけやすいでしょう。それに加えて、コンサルタントやアドバイザーが相談から紹介までをサポートしてくれる場合も多く、相談をしながら進めていけるというメリットもあります。ただし、全体的に稼働率があまり高くなく、気長に待たなくてはならない可能性もあるようです。よって、転職サイトと同様に複数の顧問専用派遣会社へ登録することをおすすめします。

人脈を使う

人脈が豊富な方は、知人の紹介で顧問として働ける可能性があります。
あまり人脈がない場合でも、転職サイトや顧問専用派遣会社を通して顧問の仕事をするうちに、声がかかる可能性もあるでしょう。ブログやSNSなどで専門性を発信し、名前を覚えてもらったり経営者と積極的に交流するのも有効な手段です。

「副業」ではなく「複業」として顧問になるのがおすすめ

「副業」と似ている言葉に「複業」があります。

これまでは、「副業」で顧問として働く働き方やメリットなどについて紹介してきましたが、実際は「複業」として働くのがおすすめです。以下では、副業と複業の違いや顧問が複業に向いている理由を紹介します。

副業と複業の違い

副業と複業は、どちらも2つ以上の仕事を掛け合わせるという意味で使用されていますが、両者は働き方や目的などが少々異なります。たとえば、副業は本業以外の仕事をして収入を得ることです。隙間時間に行われることが多く、収入源を増やすサブの仕事として取り組んでいる方が多い傾向にあります。一方で複業は、複数の本業を並行して行う働き方です。副業に比べて高い専門性やプロ意識が求められるため、収入アップだけではなく、自分自身のスキルアップやキャリア形成などを目的にしている方が多いのも特徴と言えます。

顧問が複業に向いている理由

顧問が副業ではなく複業に向いている理由は、サブの仕事ではなく本業を増やすという認識のほうがやりがいを感じやすく、顧問という仕事に適しているためです。先述の通り、副業に比べて複業は収入増加よりもスキルアップや自分の成長に重きを置いており、たとえ短期間でも自分自身の成長につながる可能性が高いでしょう。

まとめ

顧問とはこれまで培ってきたビジネス経験や専門知識などを生かし、企業の経営や事業成長などをサポートする職種です。最近では、業務の可視化やビジネスサイクルの高速化などによって、専門知識をもつ外部の人材を顧問として雇う企業が増えています。そのため、代表取締役や役員などの役職に就いていない場合でも、顧問として働くことが可能です。
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